12月2日の晩、ヴァレリー・ジスカール=デスタン元大統領(任期1974 – 81)が亡くなった。享年94歳。新型コロナウイルス感染症により、ロワール・エ・シェール県の自宅で息を引き取った。マクロン大統領は「7年の任期でフランスを変容させた大統領」と追悼の言葉を捧げた。
1926年、父親が財政監査官として赴任していたドイツのラインラント地方コブレンツ生まれ。パリのルイ・ル・グラン高校、ポリテクニーク(理工系グランゼコール)と進学、国立行政学院(ENA)を卒業後、財政監査局に入り1962年に初入閣、経済相などを務めた。
1974年の大統領選の決選投票では若さをアピールし、メディアを巧妙に使う新しい大統領選キャンペーンを展開。フランソワ・ミッテランを僅差で破り48歳で第5共和制の第3代目の大統領。戦後最も若い大統領になった(現在はマクロン大統領の39歳での就任が仏史上最年少)。
訃報に際しオランド元大統領は「ドイツとの国交を強め、欧州の単一通貨ユーロ、欧州共同市場などに大きく貢献」と功績を賛えた。欧州統合の強化は政治人生を通しての課題だった。社会面でも、妊娠中絶の合法化、参政権を21歳から18歳引き下げ、協議離婚導入などの近代化を図った。文化面ではオルセー美術館、科学産業博物館(Cité des sciences et de l’industrie)、文化財の日の創設などがある。