ジュスティーヌ・トリエ監督の『落下の解剖学』(2023年カンヌ映画祭パルムドール受賞)を公開数ヵ月後にパリ6区の映画館で見た。ほぼ満席で、開始前にあちこちから英語が聞こえる。始まった映画には英語字幕がついていた。仏映画を英語字幕で見る活動を続けるグループ「Lost in Frenchlation」が行ったイベントだった。
創立者は映画愛に燃えるパリ生まれのマノンさんとシドニー生まれのマットさん。マットさんがフランス語を十分理解できず、一緒に仏映画を見に行けなかったことから、同じ悩みを抱える旅行者や留学生、在仏外国人も仏映画を楽しめるよう、2015年に始めた。フェスティバルやマーケットに出すためにすでにプロが字幕をつけたものを上映する。上映回数は500回を超えた。
パリでは 「L’Arlequin」など6軒の映画館と、地方でもリヨンなど数都市の映画館と提携。留学生から年金生活者まで、約50カ国の人々が利用する。仏映画がメインだが、ジョナサン・グレイザー監督 『関心領域』など、外国映画も上映する。観客同士の交流を図るため上映の前か後にドリンクタイムがあり、月に1回は、上映後に作品の制作スタッフとの質疑応答(英語)もある。9月は新作 『Le Comte de Monte-Christoモンテクリスト伯』やトリュフォーの名作『隣の女』などを予定。会員制ではないのでウェブサイトをチェックするか、ニュースレターに登録して情報を得よう。サイトはもちろん英語!(羽)
https://lostinfrenchlation.com