L’Enchantement mozartien
フルートの音色が嫌いだったというモーツァルトだが、マンハイム時代に音楽愛好家でフルートを吹く医師から「小さくて軽く短い曲を」という注文を受け3曲のフルート四重奏曲を書いている。全曲を通じ晴れやかな曲想にあふれているが、それもそのはず、モーツァルトはまだ21歳で、アロイジア・ウェーバーという年下の歌手に恋していた。
第1番を聴いてみよう。第1楽章はフルートが軽々と飛翔するが、途中で短調に移ってやや陰りがさし、それがそのあとの明るさを一層引き立てるあたり、さすがモーツァルト。第2楽章は弦のピッツィカートに乗って美しいセレナード。第3楽章のロンドは軽やかな幸福感に満ちた足どり。1786年の作とされている第4番にしても、これが交響曲『プラハ』を書いた人かと耳を疑うようなくつろいだ気分に満ちている。
モーツアルトのこの若さにあふれた曲を吹くのは、ベルギー出身のフルート奏者で、バッハのフルート曲で名演奏を聴かせてくれるバルトルト・クイケン。弦の3人もバロック音楽を得意とする音楽家たちだけに、期待が大きい。(真)
1月11日(土)16h。5-19€。
Théâtre des Abbesses
Adresse : 31 rue des Abbesses, 75018 Parisアクセス : M°Pigalle
URL : https://www.theatredelaville-paris.com/fr/spectacles/saison-2019-2020/music/lenchantement-mozartien