
フランスのトップ・インフルエンサー、レナ・シチュエーションさん(27)。フォロワーは500万人、グレヴァン蝋人形館にはレナ人形が置かれ、2023年には自分の洋服のブランドも立ち上げた。フランス版フォーブス「30歳以下の影響力ある30人」に選ばれた際にはレナ・マーフフと本名を名乗り、自ブランドのジャケットとネクタイ姿の写真で表紙を飾った。
そんなレナさんが5月、マクロン派ルネサンス党幹部のデボラ・アビスロール氏から「イスラム思想を伝播している」と中傷を受けた。レナさんが、昨年のカンヌではデコルテで深いスリットの入ったドレスを着ていたのに、今年はボディラインが見えない、ゆったりとしたロングドレスを着たことを曲解したのだ。
2枚の写真を並べ、「宗教への傾倒は服装に始まる。だから少女たちのスカーフ着用禁止が必要。私たちの母や祖母はミニスカートのために闘った」との持論をXに投稿。アタル元首相の(違憲だと方々から批判されている)15歳未満の女子が公共の場でイスラムスカーフを着用することを禁止する案を擁護したかったのだろうが、レナさんにとっては迷惑な言いがかりだ。
レナさんは「母たちが、着たい服を選ぶ自由のために闘ったことを讃えたい、メルシー!そして日々、偏見にさらされながらネット上でも味方がいないイスラムの女性たちに同情します」と投稿。63万人が 〈いいね!〉を押した(下の画像)。

ルタイヨー内相の「(イスラムの)スカーフ打倒!」発言や、メディアでのイスラム差別的発言の横行に「イスラム嫌悪」ムードが拡散されるなか、先月は南仏ガール県のモスク内で礼拝中のマリ出身のアブバカール・シッセさん(22)が刺殺される事件が起きた 。
アビスロール氏は問題の投稿を削除し、レアさんへの謝罪文を投稿した。とはいえイスラム嫌いが高じて、何にでもイスラム過激派の影を見てしまう妄想癖、名前や見た目がアラブ系の人に対する差別(レナさんはアルジェリア人の両親のもとにパリ生まれ)、女性はとかく体型や服装、一挙一動を批判され、嫌がらせを受けるなど、今の社会の諸問題を凝縮したような象徴的な出来事に思えた。 (美)

www.youtube.com/@LenaSituations
レナさん instagram:lenamahfouf
レナさんの服のブランド instagram:hotelmahfouf
