Jean Vendome – artiste joaillier
2012年から一般市民向けのジュエリー講座を行なっている「ジュエリーアート学校」では、定期的に展覧会も催している。ここで何度かジュエリー展を見たが、これほど感激した展覧会はなかった。
「コンテンポラリージュエリーの生みの親」と言われるジャン・ヴァンドーム(1930-2017)は、13歳から宝飾職人の叔父の元で技術を学んだ後、18歳で独立した。回顧展といえる本展では、テーマ別に作品が並ぶ。スタイルは変わっても、石と金属を熟知し、その組み合わせで意外性を引き出す前衛ぶりが伝わってくる。
特に素晴らしいのが、石の一部を原石のまま残して加工した作品だ。石の心をわかり、石の最良の部分を引き出すような使い方をしている。ロシアの民話「石の花」を思い出させる仕事ぶりだ。身に付ける人を引き立たせるのではなく、付ける人は石を引き立たせるためにいる、そう思えてくる。衝撃を受けて石が壊れるのを防ぐため、ダイヤモンドで支えるという配慮も施している。
晩年はさらに前衛度が増し、蟹のハサミや化石を使った作品を作った。ダリやブラックなど造形作家とギャラリーで展示したこともあった。技術と高い芸術性を兼ね備えた、稀にみるアーティストだ。(羽)
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L'Ecole des Arts Joailliers
Adresse : 31, rue Danielle Casanova, 75001 ParisURL : http://www.lecolevancleefarpels.com
火-土 13h-19h 無料 要予約 12月18日まで