Ile Saint-Honorat
美しく聖なる、サントノラ島。

島には西暦410年、サントノラによって修道院がひらかれ、それから1600年間、人々は神の声を聞きながら暮らしてきた。地中海のおだやかな気候、花と緑豊かで調和のとれたこの島を修道士たちが 「楽園」にたとえるのも決して大げさではない。
修道院の入口のそばには背の高いヤシの木が何本もそびえているが、ヤシは島と修道院の象徴だ。聖オノラがこの島にやってきた頃、島はヘビでいっぱいだったので、ヤシの木にのぼって祈ったところ大波が起き、ヘビを一掃したという伝説があるからだ。
カンヌ映画祭の賞 「パルム(ヤシ)」(例:Palme d’Or 黄金のヤシ)も、また、カンヌ市の紋章のヤシもこの伝説に由来するとここで教えてもらった。今では想像しがたいが、11世紀から15世紀、カンヌの町はこのレランス修道院の領土だったのだ。近隣のムージャン、ヴァロリス、アンチーブ、グラースなどの町や、イタリアでもジェノヴァ、ヴェンティミリアほか広大な領地を有したというからかつての修道院の影響力の大きさがしのばれる。
聖地としても名高く、同修道院の免罪符は聖地エルサレムのものと同じご利益があるとされ、欧州じゅうから巡礼者たちがやってきては裸足で島を一周したという。

レランス修道院の生活

レランス修道院には、今も21人の修道士たちが暮らしている。というか、島そのものが修道院の所有地だ。フランス革命でいったん国有地となったが、フレジュスの司祭が国から買取り修道院に返したという歴史がある。
シトー派のレランス修道院では、祈り、労働、学びともてなしを重視し実践する生活が営まれる。朝4h30から聖なる読書と黙祷(Vigiles)、7h45に朝の祈り(Laudes)、12h30 と14h30 には昼の祈り(Sexte とNone)、18hは夜の祈り(Vêpres)、20hの就寝前の祈り(Complies)など聖務日課とよばれる祈り、日中はオリーブ畑やブドウ畑、製油、醸造の作業、レストラン、連絡船などの運営も修道院だ。畑仕事の途中でも祈りは欠かさない。見学者は修道院内には入れないが、教会には入ることができる。

修道院のワインづくり

オスのキジが畑でメスを誘うために上半身をふくらませていたり、カモが遊んでいたりする。レランス修道院のブドウ畑では、有機農法でブドウを栽培し、収穫、醸造からボトリングまで全工程を修道院内で行う。40ha の島の中央にブドウ畑は8ha。その5ha で赤の品種 (シラー、ピノ・ノワール、ムールヴェードル)、3ha は白(シャルドネ、ヴィオニエ、クレレット、ロール)を栽培し、10のキュヴェ、3万5千本を製造。
今年は、シラーとピノ・ノワールを使ったロゼ「Silence沈黙」を初めて商品化に成功した!香草のリキュール、蒸留酒も7 種と意欲的だ。リキュール造りの歴史は長いが、商業ベースのワイン醸造は90 年代から。それまでは修道院のミサ用のものだけだった。とはいえ発掘調査では、やはり同じ場所で紀元前3世紀ころとされる葡萄畑の形跡が確認されている。

島のレストラン La Tonnelle

新鮮な野菜をふんだんに使った南仏・イタリアン色の濃い料理を修道院のワイン(グラス11〜15€)といただける。前菜・サラダは19€ 〜グリルしたタコ31€ など。主菜はパスタ28€〜牛ヒレステーキ45€。デザートは14 〜17€。修道院の島なのでレストランといえども大きな声で話をしたりするのは避けたい。併設ブティックでは、島のオリーブオイル、ワインはもちろん、150 年前から造り続けられているリキュール類が買える。
ランチのみ12h-15h30。11月休業。
https://tonnelle-abbayedelerins.fr/

Hôtellerie – 修道院に宿泊する。

修道院には外部の人のために35 の部屋があり、最低3泊、最長7 泊まで宿泊できる。遁世体験を目的とするもので、食事も修道士たちと共に食堂で沈黙のうちにとり、ミサや聖務日課のうちのいくつかに参加できる。リクエストすれば、果樹の植わる庭で修道士と話ができることも。部屋により47€ 〜 57€(1人、一泊、朝・夕食付)。一部共用の場所をのぞいてはインターネットなし。
予約はメール:www.abbayedelerins.com/contact
Tél : 04.9299.5420

【Info】
カンヌからサントノラ島への船(往復):
19.50€/18.50€/ (16 〜18 歳)18€/
(4 〜15歳)12€/4 歳未満無料
カンヌの船着場はサント・マルグリット島への船と同じ。レランス修道院が運営する船の時刻表:
https://cannes-ilesdelerins.com/groupe/FR/horaires-traversees-cannes-sainthonorat.pdf

