Ile Sainte-Marguerite
サント・マルグリット島で、ブルボン王朝の謎ときを。

ふたつの島のうち、カンヌから近いほうがサント・マルグリット島。カンヌとの距離はわずか1.5kmだ。海抜27mの要塞の見張り台に登れば、エステレル山塊から、カンヌの町、カップ・ダンティーブまで、幅広く200度ほどが見渡せる。
軍事建築家のヴォーバンが要塞の改善に取り組んでいたころ、国王ルイ14世は要塞内に監獄を設けることを決め、独房が6室つくられた。同王は「ナントの勅令」を破棄してプロテスタントの自由を剥奪したうえ、牧師たちを捕えてこの牢獄に閉じ込めた。19世紀にはフランスによるアルジェリアの征服に抵抗した人々が投獄され、多くの人が命を落とした。

鉄仮面はここで1687から98年までの11年間を過ごした。独房は、ほぼ当時のまま保存されている。入口は三重扉、窓には三重の鉄格子。人と話すことを禁じられ、逆らえば銃殺。とはいえ独房は30㎡、天井も高く、暖炉と窓、壁にはタペストリーが掛けられていたというVIP扱い。アルプスの監獄からここへ、そしてバスティーユへ移送され没するまで、30年も幽閉された鉄仮面とは誰なのか(没後は仮面から衣服からすべて燃やされた)?
ヴォルテールは、鉄仮面を国王ルイ14世の双子の弟とし、小説のなかで国王と鉄仮面の入れ替えに挑戦する。デュマも双子の設定で物語を展開し、食事をするときは鉄の仮面の顎の部分を開いて食べていたと仮面を描写しているが、実際にはベルベットの仮面だったといわれる。

昨今の研究では、下僕のウスタッシュ・ドジエという人物だったとする説がある。彼の父親は、宰相リシュリューの護衛隊長フランソワ・ドジエ・ド・カヴォワだが、この人物がルイ14世の父親でもあったことを知っていたために捕えられた。またドジエがルイ14世と異母兄弟で瓜ふたつだったため、仮面で顔を隠さざるをえなかったという解釈だ。
ルイ14世が、母・王妃アンヌとド・カヴォワの庶子であり、王位継承者としてふさわしくないなどと話が広がろうものならフランス王朝の危機となるからだ。300年経った今も、歴史のミステリーは人々の想像力を刺激してやまず、多くの人がこの島を訪れる。

◎王の要塞と鉄仮面博物館
Musée du Masque de fer et du Fort Royal

鉄仮面、プロテスタント牧師、アルジェリアの抵抗者らの牢獄のほかにも、考古学部門では発掘調査で出土したローマ時代の食器、モザイク、サウナの模型なども。
Île Sainte-Marguerite 06400 Cannes
Tél:04.8982.2626
月曜は博物館は閉館なので要塞のみ3.20€で入場可。
要塞と博物館:火〜日10h30-13h15/14h15-17h45。
6.50€/3.50 € (18-25歳)、18歳未満と学生無料。
◎島の文化遺産に泊まる
王の要塞内の兵舎がユースホステルになっている。
Association Cannes Jeunesse
Tél : 04.9218.8888
夏期はレストランがオープン。セットメニューはドリンク付き35€前後。バーベキューメニューは38.9€。

◎野鳥の集まるバテギエ湖
Étang du Batéguier
バテギエ湖ではユリカモメ、アジサシ、シギ、セイタカシギなどの野鳥が見られる。この日は卵を温めるカモメに遭遇。

◎海底で彫刻鑑賞。
Ecomusée sous-marin
イギリスの彫刻家ジェイソン・デカイレス・テイラーの彫刻の海中ミュージアム。フランスでは最初の海中美術館だ。大きな頭像6体を展示し、地中海の生物多様性の保護をよびかける。彫刻は島から84m〜132mの距離、深さ3〜5mにある。シュノーケリングでなくても水着でいいが、彫刻は1ヵ所に集まっている訳ではないので、足ヒレがあったほうがいいとのこと。彫刻に集まってくる生物を傷つけることのないよう触るのは禁止。
◎海中彫刻美術館
Ecomusée sous-marin de Cannes par Jason deCaires Taylor
Ile Sainte-Marguerite 06400 Cannes
入場自由。島の船着場から島の反対側にある「Maison forestière」
をめざして行こう。

◎ナポレオンの砲弾加熱炉
Four à boulets de Napoléon

細長いふたつの島には、ナポレオンが造らせた砲弾加熱炉がそれぞれ2基ある。各島の、西端と東端に一基ずつ。これは、大砲を打つ前に砲丸を真っ赤になるまで(800〜900℃!)熱するための炉で、この焼夷弾を木製の軍艦などに打ち込み、発火させたのだ。なんとも嘆かわしい発明ではあるが、ふたつの島の4基の炉は、1908年に歴史記念物となっている。

