Clairvoyのブーツ

フレンチカンカン用のブーツ。 © Maison Clairvoy

 パリのピガール界隈のこまごまとした商店が並ぶ通りに、主にスペクタクル用のブーツを手作りする小さな店とアトリエがある。1945年にこの地で創業したクレールヴォワだ。ムーラン・ルージュなどのキャバレー、演劇、ダンス、サーカス、映画用のブーツや靴をオーダーメイドで手作りしている。

 クレールヴォワはトルコ移民のエドゥアルド・アダバシャンさんがブーツ見習い職人を経て、第2次大戦従軍後の1945年にフォンテーヌ通りに店兼アトリエを構えたのが始まり。多数の展覧会を開く画家でもあったエドゥアルドさんは、自分の雅号 「クレールヴォワ」を店名にし、婦人・紳士向け高級オーダーメイド靴を作って 

「名人」の評判をとった。1955年に同じ通りのキャバレー「ヌーヴェル・イヴ」がレヴュー用の靴を注文したのを皮切りに、リド、クレイジー・ホースなどが顧客になり、63年にはムーラン・ルージュとの長い付き合いが始まった。70年代からはTVや映画のスターからの注文も増えた。80年代まではキャバレーも好景気で注文はひきも切らなかったが、レヴューの衰退とともに次第に経営が悪化。2006年にムーラン・ルージュがクレールヴォワのノウハウを守ろうと買収し、同時に経営もエドゥアルドさんの娘シャンタルさんから、まだ20代の靴職人ニコラ・メストリオーさんに委ねられた。2012年には無形文化財企業 (EPV)ラベルを取得。

 

 18番地の店(約40m2)のショーウインドーにはレヴュー用のブーツ、サンダル、ダンスシューズなどが陳列され、店内にも光る石をちりばめたブーツや、色とりどりの靴、映画 『Lucky Luke』 でジャン・デュジャルダンが履いたカウボーイブーツなどが飾ってある。壁の一角にあるボードにはスターやアーティストのサイン入りの写真が所せましと貼られている。向かいのアトリエ(約60m2)は靴の木型や革、道具などがぎっしりと詰まったアリババの洞窟のようなところだ。革を切って縫い筋を付けたり、ブーツに飾りテープを付けたり、と4人の職人が黙々と働いていた。まさに一足ずつ手作り。一足作るのにニコラさんも入れて5人の職人が20~50時間かけるため、スペクタクル用で平均800€、一般向けで1200€以上かかる。この値段の違いは、スペクタクル用は酷使に耐える強度を確保するために特殊な技術が要る代わりに、革の質はディテールが重視される一般向けよりやや劣るからだそうだ。その革はほとんどが、国内のなめし業者から仕入れる高級革だ。

アトリエ。

 ムーラン・ルージュからは60人のダンサー用に一度に900足近い注文が来ることもあるし、その修理も担当しているので、一般向けの紳士・婦人靴オーダー靴(売上の2割)の納期は約1年! 通常は採寸、仮合わせ、納品と3回の来店が必要だが、外国など遠方で来られない場合は来店なしの注文も可で、アメリカ、カナダ、中国、日本などからの注文もある。

一生に一度は自分の足にぴったり合った靴を作れたらなあ……。(し)

美しい色使いの商品が並ぶウィンドー。

 


Maison Clairvoy

Adresse : 18 Rue Pierre Fontaine, 75009 Paris , France
TEL : 01 4874 4403
アクセス : Pigalle / Blanche
URL : www.clairvoy.fr

 

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