〈Artaban〉とは、17世紀の歴史小説作家ラ・カルプレネード(1609-63)が書いた『クレオパトラ』(13 巻)に出てくる人物アルタバンから来ている。アルタバンはこの上なく傲慢至極、尊大な男として描かれており、〈Fier comme Artaban〉「アルタバンのように傲慢」という表現が生まれた。
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フランス語では17世紀頃から、肉体的に〈ours〉(熊)が表現に出てくるようになった。小熊は、大きくなるまで母熊に全身をなめられながら保護される。18世紀から〈Être un ours mal léché〉(母親によくなめてもらえなかった熊)は、社交的でなく、粗野で、とじこもりタイプの人を指すようになった。
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12世紀ベルギーのリエージュにランベール・ルベーグ神父が創設した修道院ベギン会の修道女たちが被った薄いベールの付いた頭巾のことを「ベギン帽」と呼ぶようになった。以後ベギン帽は婦女子の流行りの帽子となり、16世紀には〈J'ai le béguin pour elle〉と言うと、「彼女に恋している」こと。...
〈rayon〉とは養蜂の巣板のことだが、スーパーや商店の販売棚のこと。販売係長はどこに何があるかすべてを知りきっていなければならない。また入念に指先で掘ったり削ったりする彫刻家の指に喩えて、〈connaître sur le bout des doigts〉は、指先のように「知りきっており」、〈savoir au do...
中世時代、市場や祭りの広場で歯医者が、通行人に「すこしも痛くないよ」と言って客を得ていたが、麻酔もない時代に、実際に歯を抜いてもらう人の苦しみは相当のものだった。そこで16世紀に〈Arracheur de dents〉は「うそつき」の異名となったという。17世紀になって〈Mentir comme un arracheu...
〈leu〉はラテン語の〈lupus〉から来ており、11世紀に〈loup〉(オオカミ)となる。オオカミは移動するとき、「金魚の糞」のように1 匹の尾のうしろに次のオオカミがついて移動するので、〈A la queue leu leu〉は「一列に縦に並ぶ」こと。アメリカ大陸発見後、インディアンも侵入者から逃れるとき、「縦1列...