ルソーの静かな食卓〈11〉 2019-12-09 ルソーの静かな食卓 0連載コラム 18世紀に書かれた一種の教育書『エミール』(1762年)において、触覚、聴覚、視覚といった感覚の中で、わたしたちにもっとも重要なのは味覚だとされている。著者である哲学者ルソーにとっての好ましい味覚とは、自然に近いもの。「結局、わたしたちの味覚は単純であればあるほどいっそう普遍的」 [...]
Atelier Anne Hoguetの扇子 2019-11-23 MADE IN FRANCE 0連載コラム 近年は猛暑のせいで扇子を使う人が増えているようだが、日本と違ってあまり日常的に使われないフランスでは、扇子は装飾品、美術品または歴史映画に出てくる小物という認識のほうが一般的だ。映画や演劇、オペラ、オートクチュール用に扇子を手作りする伝統工芸匠の称号を持つアンヌ・オゲさんのアトリ [...]
パラスの看板猫。 2019-11-15 パリの出来事 0 僕の名前はファラオン。2010年5月生まれのバーマン種の猫さ。青い瞳と白い毛並みがキレイでしょ。今から9年前、パリ8区のル・ブリストルにやってきた。格付け最高位「パラス」の称号を持つ豪華なホテルだよ。僕専用の小部屋もあって壁には子どもたちが描いた似顔絵でいっぱいさ。看板猫として世 [...]
ルソーの静かな食卓 〈10〉 2019-11-07 ルソーの静かな食卓 0連載コラム 18世紀の哲学者ルソーは、独特の教育書『エミール』(1762年)で、子どもを「肉食動物」にしないことが大切だと説いている。興味深いのは、それが栄養学とは違う視点で論じられていること。 「それはかれらの健康のためにではないにしても、かれらの性格のためにだ。経験をどんなふうに説明して [...]
Léon Flamのバッグ 2019-10-15 MADE IN FRANCE 0連載コラム イタリアと並んでバッグメーカーが多いフランスでは、バッグにこだわりを持つ人も多い。数あるメーカーのなかでも国内生産にこだわるブランド 「レオン・フラム」のアトリエを、中部のシャティヨン・シュール・アンドルに訪ねた。 [...]
パリのぶどう収穫。 2019-10-15 パリの出来事 0 パリ市は5つのぶどう園を所有していて、そのうちのひとつが南部のジョルジュ・ブラッサンス公園内にある。毎年市民のために、ぶどうの収穫を体験するイベントを開催しており、今年は9月27日に実施。豊作だった昨年よりも3週間遅い収穫だ。 かつて15区のヴォジラール界隈にはぶど [...]
ルソーの静かな食卓 〈9〉 2019-10-09 ルソーの静かな食卓 0連載コラム 18世紀フランスの上流社会では、乳母に授乳や子育てを任せきりの母親がほとんどだった。そして、労働に追われる乳母たちは、子守りの手間をはぶくために幼子をしっかりと産着でつつんでしまった。 哲学者ルソーは、そんな習わしにメスを入れる。母親は自ら子どもに母乳を与えるべきだし、乳児の体の [...]
Ateliers Lison de Caunesの麦わら細工 2019-09-19 MADE IN FRANCE 0連載コラム 寄せ木細工は古代から家具、壁、床などに使われ、城や貴族の館でよく見られる伝統工芸だが、木の代わりに麦わらを使う麦わら細工(marqueterie de paille)のほうはあまり知られていない。元々は極東から17世紀に欧州に伝わったとされるが、高級な寄せ木細工に比して「貧乏人の [...]
ルソーの静かな食卓 〈8〉 2019-09-12 ルソーの静かな食卓 0連載コラム 哲学者ルソーの代表作とされる『エミール』(1762年)は、他に類をみない不思議な書物だ。それはエミールという男児が成人するまでの過程をなぞる物語ではあるけれど、小説というカテゴリーを明らかにはみ出ている。作者独自の哲学や宗教観、また、社会や教育についての意見がたっぷりと盛り込まれ [...]
ルソーの静かな食卓 〈7〉 2019-08-18 ルソーの静かな食卓 0連載コラム 楽園のようだったサヴォワの田舎での暮らしは、ルソー最愛のヴァラン夫人が新しい恋人を見つけたこともあって終わりを告げる。その後のルソーは、パリでディドロをはじめとする文学者と交流するようになったり、論文が認められたりと、30代後半には社交界でも知られる存在になっていった。ところが、 [...]