ベルギー人作家ノトン氏が 2000-04-15 読者からの手紙 0 ベルギー人作家ノトン氏が日本企業での体験を語った「Stupeur et tremblements」に、作者は誇張しても本にしたい辛い経験をしたのかも、と思うようになったのは、パリの日本企業某社でのあるフランス人の経験を知ってから。 昨年アジアでの貿易語学留学から戻った彼は、それが [...]
ディジョン国立美術学校で 2000-04-01 読者からの手紙 0 ディジョン国立美術学校で催された、写真家村上佳子の作品展に出かけた。被写体は、光を失った人たち。全作品モノクロームである。顔や身体全体、手の表情をカメラが捉えていく。 倒木の、太い幹のいく筋もの溝をなぞっていく手。その手のひらの匂いをかぐ瞬間。顔をちょっとかしげ耳をすませるように [...]
今日はとても風が強く 2000-03-15 読者からの手紙 0 今日はとても風が強く、さっきバタンという音がした。暮れの嵐で屋根が傷み瓦でも落ちたのかと心配になった。いや、それはちゃんと閉まっていない雨戸が壁にぶつかる音だった。窓から向かいのあなたの家を見ると、風がひと息また激しく吹きつけ、あなたの寝室だった部屋の雨戸を押し広げ容赦なく壁に打 [...]
私は一九八二年以来パリに滞在する営業マン 2000-02-15 読者からの手紙 0 私は一九八二年以来パリに滞在する営業マン、現在失業中。いまも続いている不運な出来事は九一年にさかのぼる。 ある日、玄関のベルが鳴った。女性らしき声は「税務署より派遣された執行吏です」と伝える。室内にとおすと、彼女は椅子に腰かけ、「不動産債権の差押え」と書かれたオフィシャル・ペーパ [...]
フランスで仕事、結婚という夢 2000-02-01 読者からの手紙 0 フランスで仕事、結婚という夢を抱いている日本女性に。心のすきと欲からフランスの「いい人」に出会ってしまった私の経験をご参考までに。 語学の交換授業のアノンスで知り合ったフランス人、日本とも貿易の仕事を始めたので日本語が必要とのこと。初対面で食事をご馳走してくれ、車で郊外をドライブ [...]
フランス語を習い始めた頃 2000-01-15 読者からの手紙 0 フランス語を習い始めた頃、「ouiかnonかまずはっきり答えなさい」と迫る先生に曖昧な返事の仕方しか知らない私は大いにとまどった。言葉の学習が進むにつれ、またフランスでの生活が続くにつれ、私の人格は変わらざるをえなかったと思う。今回の場合は、フランス人がとてもポジティブにR [...]
「ナージャの村」 1999-12-01 読者からの手紙 0 「ナージャの村」、それはチェルノブイリの北東一七○キロの所にある、八歳のナージャが生まれ育ったドゥヂチ村だ。あの忌わしい原発事故が起きる以前は三百所帯が大自然のふところで平和に暮らしていた。しかし今、大地が半永久的に核に冒されていようと村を離れようとしない六家族、計十五人が、廃屋 [...]
ワッハッハッハ!という豪快な笑い声 1999-11-15 読者からの手紙 0 ワッハッハッハ!という豪快な笑い声が室内から聞こえた。恐る恐る中を覗くと、歯医者によくあるがっちりした金属製の椅子にうら若い金髪の美女が座らされ、見る見るうちに八十歳の老婆に老いさせてしまう魔女がそこに立っていた。老いた女優は鏡に映る自分の顔をじっと見つめていた。初めは好奇心から [...]
秋のグルノーブルを訪ねた十月十六日の夜 1999-11-01 読者からの手紙 0 秋のグルノーブルを訪ねた十月十六日の夜、フランスに来て初めてサッカーの試合を観戦することにした。スタジアムからは夕闇に消えていく山々も見え、なかなかいい雰囲気だ。 試合はフランスナショナルリーグのグルノーブル対エブリー。試合開始は夜八時。観衆は約三千人。開始直後はエブリーが攻め込 [...]