牛肉の煮込み料理にアンチョビーの風味が加わると…。

Bœuf marinière

バカンス前に、今はなきCoin de verreというワインバーの名物料理、サヴォワ風サラダを紹介したが、もう一つの得意料理が「船乗り風牛肉煮込み」だった。ご主人のユーグさんいわく「内陸の運河を航行するペニッシュの船乗りたちが、瓶詰のアンチョビーを肉料理に加え、少しでも海の香りを楽しんだというのがはじめらしい」。

牛肉は、ポトフなどに用いる肩肉paleron/macreuseがいいだろう。煮直すとうまさが増す一品なので、4人分でも1キロ以上買ってくるのだが、肉屋さんに2センチくらいの厚さに切ってもらう。アンチョビーは油漬けのものを15尾前後。

肉は食べやすい大きさに切り分ける。玉ネギは細くせん切りにするのだが、1キロだとかなりの量になる。ニンジンは薄めに輪切り。ペニッシュ上の料理にブーケ・ガルニが入っていたとは思えないが、いい香りをつけたいので、セロリ茎入りを用意する。これで下準備完了という簡便さ!

圧力鍋を使うと早く煮上がるが、どうしても仕上がりが水っぽくなるし、ココット鍋や厚鍋でじっくりと煮込んでいく味わいにはかなわない。

さあ、そのココットを中火にかけて油あるいはラードをとり、玉ネギを透きとおるくらいまで炒める。肉とアンチョビー、ニンジンを加えて混ぜ合わせ、ひたひたになるように薄めのチキンのブイヨンを注ぐ。アンチョビは丸ごとでかまわない。というのも途中で何回か混ぜ合わせていくうちに自然にくずれていくからだ。ブーケ・ガルニを加え、多めにコショウをひき入れる。塩は、アンチョビーにかなりの塩味があるので最後に調えるのが無難だろう。

沸騰してきたら弱火に落としてふたをし、気長に 2時間半から3時間、何回か全体を混ぜ合わせながら煮込んでいく。途中水気が足りないようなら水を足す。肉がすっかり柔らかくなったら塩味を調え、きざんだパセリを散らせば完成。付け合わせはライス。子どもたちや日本人の友人たちにも好評の一品です。(真)

4人分:牛の肩肉1キロ、油漬けのアンチョビー、15尾前後、玉ネギ1キロ、ニンジン1本、セロリ入りブーケ・ガルニ、チキンのブイヨン適量、パセリ、塩、コショウ

 

 

Bœuf mijoté
牛肉は、ポトフやブルギニョンといった2,3時間かけて煮込まれる料理で活躍する。いずれもフランス人の大好物で、アバラ肉plat de côtes、肩肉paleron/macreuse、すね肉gîteなどが使われる。肉に混じりこんでいる脂身やゼラチン質が、仕上がりの適度のとろみとうまみになる。15ユーロ前後の安い肉だから、少し多めに買う方がいい。たくさん作った方が上手にできるし、煮直せばさらにうまい。調理時間はかかるけれど、ふたをし、ときどきかき混ぜながら弱火で煮込んでいくだけ。今回のレシピが残ったら、しょう油、おろしショウガ、あったら酒少々を加えて温め直し、熱々のごはんにのせれば、最上級の牛丼!

 

 

Poire de bœuf
先日、お気に入りのレストランに出かけたら、本日のメインの中に「poire de bœuf」という一品がある。「脂身がほとんどなく、ランプrumsteck(もも肉)に似た味わいの肉です」ということだった。料理事典を見てみたら、ランプのすぐ下に位置する600グラムくらいしかとれない肉で、形がナシpoireに似ているのが名前の由来とある。「saignant(レア)」で焼いてもらったのだが、その柔らかなうまさにうっとり。ただ、このナシ、肉屋でなかなか見つからない…レストランが買いとってしまうから。

 

 

Anchois
anchoisはカタクチイワシ類の20センチ以下の魚で、イワシより細長く、下あごの上に鼻面が突き出している。地中海、大西洋の沿岸で捕獲され、ふつう塩漬けにされて缶詰や瓶詰めになる。塩漬けにされたアンチョビーは、地中海料理に欠かせない独特の風味を持つようになる。ただ塩漬けは塩加減がきついので、塩加減も薄めで身も柔らかい油漬けがおすすめ。そのままトーストしたパンにのせれば簡便なおつまみ。パスタに混ぜ入れたり、野菜や魚のタルトに味を引き立てるために使ったり、と万能選手だから常備したい食品だ。開封したら冷蔵庫で保存。


 

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