Q:その気持ちで、その後に行かれたのは?
秋:パリです。
Q:パリのそのお店というのは、伝統的な?
秋:いや、パリはまあそういうことを言いながらも、ビストロでした(笑)。ただこの店が多分僕の転機になった、というか、今こうして自然派のワインを置いているのもオーナーのおかげ、というか。
Q:それはどこですか?
秋:Le Bistralビストラルという17区にあったお店でした。そこのオーナーとは今でも会ったり、食べにきてくれたりします。その方にくっついて、休みの日にワイナリーなどに行って自然派のワインに出会い、学びました。そこで勉強したおかげで、今の店では半分ぐらいは面識を得た作り手の方から直接仕入れています。料理にしても、日本人シェフの金山さんという方からかなりの影響を受けました。
Q:金山さんは今どちらで?
秋:日本でシェフとして仕事をされています。あの方には本当に多大な影響を受けましたね。
Q:金山さんが作っていらっしゃったお料理は?
秋:フレンチでした。やったことのなかった料理でしたので、影響を受けたということです。でも、フュージョンもせずフランス料理なんだけれども、僕が見たことのない技術でやっていたので、勉強になりましたし刺激も受けました。
Q:金山さんのところへ行かれたのは、一度お店へ食べに行って、ということですか?
秋:そうです。美味しかったので。
Q:美味しかった、とお店で思ったらその場で「働きたい」と交渉する?
秋:いえ、ちょうど金山さんが人を探していたので、面接をする前に一度ご飯を食べに行きます、ということでしたね。食べに行って、もうそのままお願いします、と。
Q:金山さんのお店にはどのぐらい?
秋:2年ぐらいですか。厨房もとても狭くて、うちの店のバーカウンターぐらいでした。その狭さの中で金山さん、そして僕が二人で仕事をしました。店のオーナーは例の自然派ワインの人物、フランス人です。
Q:例えば金山さんのお料理で「わー!」というもの、覚えていますか?
秋:いや、金山さんの料理はどれもが「わー!」というものでしたね。難しいな…まあ、火入れ、肉の火入れとか、魚の火入れとか、あとは素材の組み合わせとか。一皿が美味しかったから働きたいです、というのではなくて、料理人として技量というか才能に惚れた、というか。
Q:それをバーカウンターほどの小さなスペースで全てこなしてしまう。
秋:そうなんです。
Q:転機、というぐらいなので、ワインなどもやっぱり発見があったんですよね?
秋:そうですね、食べ物についても同じですけれども、自然という意味でのニーズがあったのだと思います。あとは料理にしても方向性があったというか。金山さんが今僕の料理を食べられると「違うじゃないか」とおっしゃるかもしれないですけれども、あそこで自分の基本となるものができたのではないか、という気はしています。
Q:そしてパリから次はアルザスですか?
秋:いえ、サントロペです。
Q:えっ、いきなり地中海沿いへ?結構移動していらっしゃるんですね。
Automne
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アクセス : M° Charonne
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