今月は、アンドレ・ドラン(1880-1954)の展覧会をふたつ見ることができる。ひとつは3人のアーティストの交友を描いたパリ市近代美術館の「ドラン、バルテュス、ジャコメッティ」展。もうひとつはポンピドゥー ・ センターの 「ドラン展」。それぞれが違うテーマと年代を扱う。前者は、年下の作家2人が大先輩ドランから影響を受けた様子が実証され、どの作家のファンもそれなりに楽しめる。ドランの作品を知る人に面白いのは、1904年から14年までの10年間を扱ったポンピドゥーのほうだ。ドランは、若い頃からどんどん作風が変わっていった。モネのより質感のあるロンドン風景も、セザンヌのより優雅な「水浴する女たち」も、キュビズムまでは行かないカダケス風景も、味があって上手い。まさに百変化のアーティストだ。圧巻は、野生動物と踊る仮面顔の女たちを描いた大作「ダンス」。ドランの才能の厚みがわかる。(羽)
Derain, Balthus, Giacometti パリ市近代美術館 10月29日まで
André Derain ポンピドゥー ・ センター 2018年1月29日まで