彫刻家のアントワーヌ・ブールデル(1861-1929)は、多くの彫刻家を育てた師でもあったことを見せる展覧会。
19世紀、彫刻家は粘土で形を作る人で、型取り、型へのブロンズ流しや石彫りはもっぱら職人に頼んでいた。ロダンの下請け仕事をしていたブールデルは、その後、彫刻家として独立。同時に、自分のアトリエとモンパルナスの画塾グランド・ショミエールで彫刻とデッサンを教え始めた。
彼のもとに世界中から集まった生徒の中には、母国の美術教育を率いる重要人物になった人もいる。会場には生徒をモデルにしたブールデルの作品と生徒の作品が並び、師弟間の親密な空気が感じられる。ギリシャから来たクレオパトラは師匠と結婚し、アトリエを仕切る妻になった。弟子の中でも極め付きは、ジェルメ―ヌ・リシエとアルベルト・ジャコメッティだろう。
若きジャコメッティの、珍しいアカデミックなデッサンが出ている。この二人の巨人の作品で締めくくることで、展覧会に広がりが出ている。(羽)
2019年2月3日まで 月休