現代スペイン美術界の大物、ミケル・バルセロ(1957-)の大掛かりな個展が、2カ所で同時開催されている。絵画、デッサン、彫刻、版画、陶芸と、多方面に才能を開花させたマルチアーティストだ。日本では本が出たが、本格的な展覧会はまだなので、美術に興味がある人にはぜひお勧めしたい。
ピカソ美術館では、ピカソが好んだ闘牛や画家のアトリエなどをテーマにした絵画、おびただしい陶芸作品が並んでいる。これだけですでに、ピカソ並みのエネルギーの持ち主であることがわかる。美術的により興味深いのは、デビューしたての頃から現在までを年代順にたどった国立図書館のほうだ。会場が図書館だけに、作家のスケッチ帖や資料も展示されており、創作の軌跡を垣間見ることができる。故郷パルマ・デ・マヨルカのカテドラルを飾る彫刻の制作風景、アトリエがあったマリのドゴンの村で、住民を前にしてパフォーマンスをするバルセロを撮ったビデオも面白い。子供のような好奇心が刺激される展覧会だ。(羽)
8月28日まで 月祭休 BNF François Mitterand :Quai François Mitterand 13e
7月31日まで 月休 Musée Picasso :5 rue de Thorigny 3e