今から100年前の2月21日、朝7時15分。ドイツ軍の猛烈な砲撃で 「ヴェルダンの戦い」が始まった。午後4時までに100万発の砲弾が放たれた。第一次世界大戦の最中300日間続いたこの戦いだけで、独仏あわせ約70万人が死亡、負傷、消息不明となり、9つの村が消えた。砲弾が降った地面は今でもデコボコで、まるで異星の地だ。1916年は特に雨が多く塹壕はぬかるみ、寒かった。
戦死した友人たちのために、退役軍人らが1967年に建てたMémorial de Verdunが、戦いから100年の今年、新装オープンした。同じ戦いの犠牲となったドイツ・フランス双方の「ヴェルダンの兵士」たちの所持品や手紙などを展示し、人間らしさが感じられる記念館として再出発する。
1984年、ミッテラン大統領とドイツのコール首相は、ともにヴェルダンを訪れた。13万人の無名戦没兵が眠る納骨堂の前で、ふたりが手に手を取ったことは、ドイツとフランスの和解と、平和の誓いのシンボルとして歴史に刻まれた。今年の5月末には、メルケル首相とオランド大統領がともに、新しいヴェルダンのメモリアルに赴く。
「私たちのことを忘れないで」と言い遺して8年前、ラザール・ポンチシェリさんが110歳で亡くなった。ヴェルダンを戦った最後の人だった。どう語り継いでいくのか。どの国にあっても今後の大きな課題だ。(集)