その昔、自分は子供に「勉強しろ」なんて野暮なことを言う親にはならないと思っていた。だが自分が親になるとしっかり野暮な親になるものだ。フランスでは小学校低学年でも宿題がきっちり出されることが多い。つい毎日「宿題終った?」とうるさく問いただす自分がいる。のび太を心配するドラえもんの気持ちが今さらながらわかる。ただミラからは「うるさママ」とあだ名を付けられたので自制しなければと思う。
さてCE2(小3)のミラが最近頭を悩ませているもの、それが九九だ。私は以前から日本式の九九をちょっとずつ教えてはいた。トイレにも日本式九九の表を貼った。だが当然ミラは、学校ではフランス式の九九を教わる。そしてフランス式というのが、私から見るとどうも使い勝手が悪い。「さざんがく(3×3=9)」で済むところを「トワフォワトワヌフ」とやや長い。だから「日本式の方がリズムが良いし便利だよ。フランス人が計算苦手なのはこのせいじゃない? おつりすら計算できないし」などと失礼なことを言うと、ミラは「学校ではフランス式を覚えなきゃだめ!」と怒る。まあもっともなことだろう。それによく聞くと、フランス式九九も一応リズムがあるようだ。普段、ミラに日本語会話を強制しているだけでも相当負担だろうに、やっぱり日本式九九まで押し付けてしまうのはちょっとかわいそうか。でもやっぱり日本式九九は素晴らしいのになあ?と、妙にあきらめ難い私だ。(瑞)