●Reblochon
レストラン欄で紹介したことがある10区のレストラン〈Coin de Table〉で出されるルブロションは、そのおいしさにみんなが感心する。先日この店でそのルブロションの即売会があった。企画者のユーグさんが、オート・サヴォワ県の山村の酪農家フランソワ・タビュイさんのルブロションを購入し、2週間かけて熟成の仕上がりを待ってから山を下り、その翌日に即売という逸品だ。ボクが味見したのは二日後。写真がそれだ。
初夏になって放牧され、標高1000メートル以上の山地の香り高い草を食べている牛の乳を使ったルブロションは、今が食べごろ。薄いクリーム色の皮は熟成が進んでいるのでやや固め、指で押すと柔らかく押し返してくれる。期待が高まる。切り口はしっとりとしたつやを放ち、2分も置いておくと、その切り口から、中身がとろりとはみ出てくる。皮ごと薄く切って口に含むと、わらの香りがかすかにする。ルブロションならではの控えた塩加減、どこまでもクリーミーな味わいが広がり、とりたてのハシバミのような風味が残る。
皮ごとバゲットパンに塗りつけ、オーブンの上火で5、6分ほど焼くと、そのやや固めだった皮のおいしいこと!(真)