●ケルヴィエル被告に罰金49億ユーロ
10月6日付リベラシオン紙。
2008年初めにソシエテ・ジェネラル銀行のトレーダー、ジェローム・ケルヴィエル被告(33)が不正な取引によって同行に49億ユーロの損失を負わせた事件で、パリ軽罪裁判所は10月5日、同被告に禁固5年(うち保護観察期間2年)と49億ユーロの損害賠償金の支払いを命じた。被告の不正取引を知らなかったとして、同行の責任は全く問われなかった。被告は上司が不正取引の事実を知っていたと主張しており、判決を不服として控訴する。この前代未聞の損害賠償金は、同行に責任がないことを示す象徴的なもので、被告が実際に支払うのではない。同行は2008年に49億ユーロの損失を計上し、16億ユーロを節税していることから、社会党のオランド氏は、「同行の過失による損失を国民が支払うのは納得できない」と同行の監督責任を全く問わない判決を厳しく批判した。
●法改正で、移民規制がさらに厳しく
国民議会は10月5日、審議中の改正移民法案に新たな規制条項を盛り込んだ。まず、外国人がフランスの社会保障制度に「非常な負担」をもたらす場合は国外退去措置にできる。さらに、病気の外国人がフランスで治療を受ける条件を、これまでの「自国で実際に治療にアクセスできない」から、「自国での治療法の不在」とし、社会保障制度の恩恵を受けるための滞在をより厳しく規制する。また、滞在許可証や国籍を得る目的で外国人がフランス人をだまして結婚する「灰色の結婚」を最高7年の刑と3万ユーロの罰金に処する措置も。しかし、カップルの感情問題に法を適用することは不可能だとして、左派だけでなく右派からも反対意見が上がっている。法案は12日に採決予定(11日現在)。
●違法なロマ人名簿を憲兵が作成か?
10月7日付のルモンド紙電子版は、国家憲兵隊の下部組織である移動犯罪対策局で、「非定住型少数民族(MENS)」ファイルと名づけられたロマ人の名簿ファイルが作成されていたと報じた。フランスでは出身民族名を記載した個人情報データの保存は違法とされている。ロマ人団体は6日にこの件を告訴した。内務省はMENSという名称が1990年代に憲兵が使っていたことは認めたが、名簿の存在を知らなかったと弁明。さらに、人権擁護団体によると、パリ北郊外のメリ・シュル・オワーズ市で空き地を不法に占拠していたロマ人のうち成人およそ60人に9月末に指紋とDNAの採取が行われていたことが、10月8日付仏各紙で報じられた。犯罪容疑で逮捕された人以外のDNA採取は違法であり、同県の検察局は採取されたDNAの廃棄命令を下したという。
●顔を隠すスカーフ禁止、憲法評議会承認
憲法評議会は10月7日、ブルカなど顔を隠すスカーフをすべての公共の場で着用することを禁止する法律(9月に国会で成立)を合憲と判断した。ただし、一般に公開された信仰の場は例外と判断。この合憲判断によって同法はすぐにも施行されるものの、実効性を持つのは6カ月後。違反者には150ユーロの罰金、この種のスカーフ着用を強要した者には最高で禁固1年、3万ユーロの罰金が科される。
●行方不明の洞穴探検家、死亡を確認
10月3日からアルデッシュ県ラバスティッ ド・ド・ヴィラック洞窟で行方不明になっていた洞穴探検家エリック・エスタブリさん(45)の死亡が11日に確認された。9日、行方不明地点から200mのところで岩をたたくような音を救助隊が聞いたため、生存の希望がもたれ、10日に潜水士が洞窟入口から780m地点の岩が崩れ落ちた場所に食糧や酸素ボンベを供給。11日にエスタブリさんがそれを取りに来たかを確認するために潜水士を派遣し、エスタブリさんの溺死を確認した。
●百万長者の数、フランスは世界第3位
10月11日付ラ・トリビューン紙が報じたクレディ・スイス研究所による2010年世界長者レポートによると、フランスの百万長者(ドル建て)の数は世界第3位とわかった。1位は米国で世界の長者全体の41%を占め、2位は10%の日本。フランスは9%で、100万ドル以上の資産を持つ人が220万人いる。また、世界の人口の0.5%にあたる2440万人が、世界の富の35.6%を保有する。大人一人当たりの保有資産では、スイスが1位で、以下、ノルウェー、オーストラリア、シンガポール、フランスと続く。