7月1日から実施されたレストランの付加価値税(TVA)率引下げが、値下げや雇用創出など十分な効果を生んでいないと問題になっている。
レストラン業界の悲願だったTVAの19.6%から5.5%への引下げは、従業員の労働条件改善、雇用創出、価格引下げなどの実行を条件に実現された。ところが値下げは3割程度のレストランしか実行しておらず、値下げ幅はわずか1.5%という。現在進行中の労使交渉では、5労組のうち3労組が、200ユーロのボーナス、平均6%のベースアップ、祭日2日分の休暇追加といった雇用者側の提案を12月1日に拒否。少なくとも現段階では労働条件の改善はあまり進展していない。業界はTVA引下げで4万人の雇用創出をうたっていたが、経済危機のあおりで実際には6000人しか創出されていない。TVA引下げ効果に落胆した上院財務委員会は先月、19.6%を復活させる修正予算案まで可決した。19.6%への回帰はないとしても、批判の声はくすぶり続けている。厳しい経済環境下で業界が約束を守るのは困難だとは思うが、実行できない約束なら、しないほうがよかったのではないかと思う。(し)