7月8日モントルイユ市で、アトリエとして使っていた病院跡から芸術家たちが強制退去させられたことに抗議するデモがあり、それに参加していたヨアヒム・ガッティさんが、顔面に至近距離からフラッシュボールのゴム弾を受け、片目の眼球がくだけ視力を失った。他の5人も腹部より上にゴム弾を受けている。証言によれば、平和的なデモで、警察側の正当防衛という釈明は当たらないという。
2002年、当時内相だったサルコジ現大統領は、「警察がフラッシュボールを備えれば、団地の不良たちが警察官を襲ったりしなくなる。警察は共和国であるからといって、無力であることを強いられるべきではない」と語り、問題の多い団地などに派遣される警備部隊がこの武器を使用することの正当性を強調。
フラッシュボールは全長33センチの上下2連銃で、銃身の口径は44ミリ、硬質のゴム弾を装てんするようになっている。「殺さず、傷つけず、暴力を振るう者にたちどころにストップをかけることができる武器」とこの銃を開発したピエール・リシェ氏。ところが2005年から現在までにフラッシュボール弾を顔面に受けてなんと7人が片目を失っているのだ。最初の被害者は14歳の少年で、両親共々アパートから強制退去させられた際に、至近距離からフラッシュボールを撃たれて失明した。警察側は、危険にさらされた正当防衛の場合に限り、腹部から下を狙って発砲するようにという内規があるという。一部の専門家は、フラッシュボールは10メートルの射程距離で40センチほどの誤差が出てしまう銃で、デモの際の使用には疑問が残ると指摘している。(真)