家の近くの朝市には素敵なチーズ屋があり、品数も豊富だし、例えば「明日のお昼に食べるんですが」などと注文すると、食べごろのチーズを選んでくれる。先日は「生乳からできているイゼール地方の山地で作られているトムを試してみませんか」とご主人。値段もキロ18€と手ごろだった。
モルビエやルブロション、トム・ド・サヴォワ同様〈pâte pressée non cuite 非加熱圧搾〉タイプの保存がきくチーズ。大きさはトム・ド・サヴォワくらいで直径30センチ、高さ6センチくらい。湿度の低いカーヴで長期間熟成されたに違いなく、皮は固くセピアがかっている。気孔ができている身は、弾力があり、きれいなクリーム色。口に含むと、もちもちっとした食感で、トム・ド・サヴォワのような納屋を思い起こさせる香りはないが、どこまでも柔らかな、バターというかミルクの香りだ。タルティフレットで、ルブロションだけを使うと財布がずいぶん軽くなってしまうけれど、このチーズと半々にすれば経済的だ。もちろん食後のチーズにもおすすめ。ワインはボージョレ産の軽めの赤かな?(真)