今年7月1日をもって正式に合併するケース・デパルニュとバンク・ポピュレールに、政府が20~30億ユーロを注入することが2月23日に明らかになった。この2行は昨年後半以来の金融危機の影響を受けて膨大な赤字を出した。とくに、2行の共同出資子会社Natixisは25億ユーロの赤字を計上し、さらにケース・デパルニュでは昨年10月にトレーダーの失敗で7億5000万ユーロの損害を出して頭取が引責辞任する不始末もあった。合併後の銀行に国が20~30億ユーロもの貸付金を供与することによって、国の株式保有率は20%になり、しかもサルコジ大統領の側近であるフランソワ・ペロル大統領府副官房長が頭取に就任するらしい。国の介入は強化される一方だ。他方で、ソシエテ・ジェネラルとBNPパリバは2008年度通年でそれぞれ20億ユーロ、30億ユーロの黒字を計上。金融危機が発生した当時は国民や市場の不安を取り除くために公的援助が必要だったのだろうが、今となっては本当に必要だったのか、そして莫大な援助に見合う内部の健全化努力はされたのか、という疑問が沸いてくる。(し)