26席のこぢんまりとしたビストロ。店内は懐かしい雰囲気が漂いながらも、モダンな家具や内装で若々しさにも満ちている。シェフは、肉料理が大好きなコルドンブルー料理学校出身の31歳の女性だ。
メニューは昼も夜も同じ。昼なら前菜+メイン、またはメイン+デザートが20€、 3品なら26€。夜はそれぞれ25€、30€と割にリーズナブル。友人はエイのアーモンド風味、長ネギのヴィネグレット和えと鴨のパルマンチエを、私は田舎風カプチーノとリブロースのステーキ(+2€)を選び、ワインは グラスでCôtes du Rhône(6€)とBourgueil(5€)をそれぞれ注文した。
まずは小さなショットグラスに、美しいピンク色のビーツとクミンの冷スープが突きだしとして登場。ビネガーの酸味が効いていて食欲がわく。
田舎風カプチーノとは、キノコのクリームに緑鮮やかなニンニク風味のクリームがぽってりのった軽い前菜。対して、エイの皿はこのままメインにしてもよさそうなほどのボリュームで、香ばしいアーモンドスライスとバターソースたっぷりのエイに、小ネギを和えたバルサミコ酢の酸味も心地いい。
メインはコート・ド・ブッフと見紛うかのようなリブロースが圧巻だ。焼き加減はレア。表面はうすーく香ばしく焼かれ、ナイフを入れると鮮やかなバラ色が現れる。ひとくち、口に放り込むと、何ともいえない豊かな香りと肉汁が溢れる。添えられたタマネギのコンポートも、根セロリやニンジンのコンフィもじんわりとやさしい味わいだ。
厨房からちょいちょい出てきて、客席の様子をチェックしているジュリーさんのまなざしは真剣そのもの。ベリーショートの髪型からもクールな美人という印象だったが、話してみると案外気さくで人懐っこい。「頑固 entêtée」という店名通りの骨太なフランス料理に出会えるのが嬉しい店だ。(里)
L'Entetee
Adresse : 4 rue Danville, 75014 Paris , FranceTEL : 01.4047.5681
アクセス : M° Denfert Rochereau
日月休。