●ブザンスノ氏へのスパイ行為で捜査開始
極左政党LCR(共産主義革命同盟)のスポークスマン、オリヴィエ・ブザンスノ氏へのスパイ疑惑で、タゼール・フランス社(内務省にスタンガンを納入)のアントワーヌ・ディザッゾ社長、関税局員、警察官ら7人が10月16日に取り調べを受け、同社長は17日、ブザンスノ氏の財産について私立探偵に調査を依頼したことを認めたが、スパイ行為は否定した。ディザッゾ社長が幹部を務めるSMPテクノロジー社への家宅捜索では、昨年の10月から今年の1月までにブザンスノ氏とその家族の行動を記録した報告書が押収されている。
●失踪姉妹の父親を逮捕
離婚したイタリア人の母親のもとで暮らすのが嫌で失踪したとされた姉妹の父親(36)が狂言失踪を仕組んだことを自白したため、10月17日に逮捕された。事件はランスで起きた。離婚のために姉妹の養育権をめぐって法廷で争っていた父親は、姉妹を連れて2007年夏にイタリアからランスに帰国。イタリアですでに養育権を獲得していた母親がランスで裁判を起こし、10月2日に控訴審で母親の訴えが認められていた。姉妹を母親に引き渡す予定の10月6日に父親は姉妹が失踪したと警察に届けたが、実際には父親と伯父、友人2人が共謀して11歳と13歳の姉妹を10日間隠していた。
●シスター・エマニュエル、死去
10月21日付パリジャン紙の表紙。
慈善運動家シスター・エマニュエルが、10月20日、南仏ヴァール県カリアン老人福祉施設で老衰のため死去。99歳。ブリュッセル生まれ。哲学・神学を修め、23歳で修道会に入り、北アフリカやトルコに教師として派遣された。定年後はカイロのスラム街に住んで学校建設などに取り組んだほか、1980年には世界中の貧しい子供たちの支援活動を行うための協会を設立。避妊や僧職者の結婚容認などの進歩的考え方で国民に人気があり、22日、パリ・ノートルダム大聖堂での追悼式には政府要人ほか数千人が参列。
●環境グルネル法案を国民議会が可決
10月21日、環境グルネル法案は国民議会の第一読会で圧倒的賛成多数で可決された。この法案は2007年秋に開催された政府、環境団体、地方自治体、企業代表による環境グルネル会議で決定された原則を法案化したもの。地球温暖化対策のための住宅建設に関する規制、太陽・風力発電など代替エネルギーの推進、鉄道輸送やトラムウェイなど公共交通機関発展のための投資、大型トラックへの〈道路エコ使用料〉新設などが盛り込まれている。
●法曹界で反ダチの動き活発に
服役囚の自殺が相次ぎ、ダチ法相が担当判事の聴取を行ったことを受けて、二つの主要司法官組合は10月23日、法相のやり方は司法官に対する威嚇であり、真の原因は法相が進める未成年犯罪者や再犯者への厳罰政策であるとして全国で抗議集会を行った。6日と9日にはメッスとストラスブールの拘置所で16歳の少年が自殺、17日、21日にも男性服役者3人が自殺した。これで今年の刑務所内での自殺は91件となり、昨年同時期の2割増。
●ルノーとプジョーの工場、操業一時停止
ルノーとプジョーの両グループは10月24日、工場の操業を一時的に停止すると発表した。ルノーでは国内のほぼ全工場で、10月27日から1、2週間(あるいはそれ以上)操業停止を行う。ルノーは最近、4900の雇用削減を決めており、労組側は希望退職者を増やすための策略と非難。プジョーは、生産量を30%カットするために、欧州のほぼ全工場で年末までに2日から16日間、操業を停止する。
●ストロス=カーン氏の疑惑が晴れる
国際通貨基金IMFのドミニク・ストロス=カーン専務理事の不倫問題で、IMF理事会は10月26日、「重大な判断ミス」があったとしながらも、セクハラ、パワハラ、職権乱用などの事実はなかったと結論づけた。フランス政界は一様にこの決定を歓迎。ストロス=カーン専務理事は部下であるIMFアフリカ支部のハンガリー人女性と2008年1月に不倫関係を持ち、それが女性の夫に発覚した後、女性は欧州復興開発銀行に転職した。その際に専務理事の介入があったのではないかと疑いが持たれていた。