昨年7月15日にスタートしたパリ市の自転車レンタルシステム〈Vélib’〉は、パーキング数や自転車台数も増えて予想を上回る人気。これまでの登録者数は20万人を超え、晴れの日には一日13万人以上が利用している。
このように自転車の利用数が増えるに従って、自転車に乗っていて事故に遭う人たちの数も増加中。パリ市では、2008年に入ってからこれまでの事故数は約250件(そのうちVélib’ 利用者の事故は約70件)で、昨年同時期に比べ約20%増。主な原因は、自転車の利用者たちが、信号無視や一方通行無視など、交通規則を守らないこととされている。交通違反をおかした自転車利用者も罰金処分になるが(信号を無視したり、歩道を走ると90€、自転車に乗りながら携帯電話を使用したりイアホンで音楽を聴いていると22€…)、その罰金処分件数も3年前は月300件ほどだったのが、現在は1000件に近づいているという。
6月23日、6区のサンミッシェル岸で、自転車に乗っていた女性がトラックに巻き込まれて即死し、今年に入って自転車利用者の犠牲者は3人となった。大型トラックやバスにとって、バックミラーから前方数メートルは死角とされているが、同女性も、トラックの右側から追い越そうとして死角に入ったことが原因とみられている。2006年以来、自転車に乗っていて事故死した人は10人だが、そのうち7人はこの死角に入ったためだ。
自転車専用レーンがパリではまだまだ不備。バス専用レーンを使用することも認められているが、延べ180km中60kmは禁止されている。5月の犠牲者は、自転車禁止のバス専用レーンでバスに巻き込まれた。
交通規則を守り、そして、トラックやバスに注意しながら、パリ夏の自転車ライフを楽しみたい。(真)