ファッション界に君臨するカール・ラガーフェルドが、黄色い安全ベストを着て、夏休み前恒例の交通安全キャンペーンに協力した。「黄色は見苦しい。どんな色にも合わない。でも、あなたの命を救うかもしれない」*。数年前、エディ・スリマンのディオール・オムを着るために13カ月で42キロ体重を減らし、常に黒と白で押し通す完璧主義者ラガーフェルドだけに、説得力がある。
1938年、ドイツ、ハンブルグの裕福な家に生まれる。「4歳の時に、私は世界の中心になりたいんだ、ということに気づいた」というから早熟だ。デザイン画が好きで、14歳の時に両親を説得してパリにやってくる。16歳でファッションデザインコンクールのコート部門で優勝。20歳で〈ジャン・パトゥ〉のデザイナーに。その後フリーランスとして、〈クロエ〉、〈フェンディ〉、〈シャルル・ジョルダン〉などと契約。プレタポルテ界の寵児として注目される。1983年からはシャネルのデザイナー。50歳を前にして写真を学びはじめ、現在は写真家としてもプロの仕事をこなす。2004年には安価な既製服で名高いH&Mとコラボレートして話題を呼ぶ。「両極端だけが興味ある。贅沢品と誰にも買えるものはいいが、その間にあるものにはぞっとする。あの恩着せがましいところが耐えられない」
彼の財産ははかり知れないが、安藤忠雄が設計したビアリッツの邸宅やモナコの邸宅の間を行き来し、美術品や骨董家具の名高いコレクターでもある。(真)
*7月1日より、高速道路で車を非常駐車帯に止めて外に出る時は、この黄色いベストを着用することと、3角形の停止表示板を車の30m手前に置くことが義務づけられる。違反すると罰金135ユーロ。