パリ周辺部をぐるりと囲むラ・プチット・サンチュール(La Petite Ceinture)や、それと市中心部を結ぶ仏国鉄の線路は19世紀半ばに敷設されて乗客や貨物を輸送したが、1934年に廃線になった。バスチーユ-ヴァンセンヌ線のように緑の遊歩道にされたところもあるが、ほとんどの線路は放置されて錆付き、荒れ放題。トンネルの下などはホームレスのすみかになっている。30余りあった駅はRER線の駅に利用されたり、廃屋になったり。今年1月に12区のシャルル・ベギー公園に隣接した線路脇部分が整備され、共同菜園と緑地に生まれ変わった。部分的にはこのような緑化が行われているが、いまだに一貫した整備案は決まっていないようだ。緑の茂るこの季節、最寄りの線路跡をのぞいてみては? 都会の喧騒から遠のき、19世紀にタイムスリップしたような不思議な感覚が味わえる。(し)