娘の日本語遣いに感心。 N° 601 連載コラム 2006-12-15 ミラはフランスに住んでいる分、日本語との接点が日本育ちの子供より少なめ。だから私が気をつけて、娘の見本になるような美しい日本語を遣わねばならない。そうは思うのだが、だらしない私は、ついつい楽な方へ流される。例えば、私はついつい「いいじゃん!」と〈じゃん〉付き言葉を使ってしまう。ミラはそれを聞くと「〈じゃん〉って言わないで」と怒る。なぜかと聞くと「可愛くないから!」。3歳の子供に言葉遣いを直される親というのも情けない。しかし、〈じゃん〉言葉が美しくないことを、先天的に感じる鋭い言語感覚には、驚いてしまった。 またある夜のこと。ミラは世間一般の例に漏れず夜すぐに寝てくれない。ぎりぎりまで遊んでいたいので、理由をつけてはベッドに入ることを拒否する。それで私はあんまり腹が立ったので、 「あんた、ママのいうこと聞かないから、もうぜーんぜん可愛くないわあ」 と鬼婆顔で言ってやった。すると、一瞬ミラは静かになったかと思うと、ベッドに小さくうずくまり、 「可愛いのに、可愛いのに…」と、背中を丸めて泣いてしまった。 しまった、言い過ぎた。でも、ミラの「可愛いのに」の〈のに〉の正確な使い方に感心。いやいや、感心してる場合ではない。あとから必死に謝ったが、打つ手なし。ささいな言葉で小さいハートは深く傷つくものなのだと、ダメ母の反省は続く。(瑞) Share on : Recommandé:おすすめ記事 ミラとバカンスに出発した。 当たり前、とは限らない。 限りなく義務に近い寄付。 重過ぎるカルターブル。 スポーツウェアで登校。 ミラがラブレターをもらった。