10月12日、国民議会第一読会は社会党提出の「アルメニア人虐殺否定罪制定(懲役5年+罰金4万5000€)」法案を可決した。上院での採決は来年以降の予定。フランス議会は2001年1月、1915年アルメニア人集団虐殺事件を「ジェノサイド」と認定宣言している。 どうしてこれほどまでフランスの政治家がこの問題にこだわるのか。1915年トルコからの国外移送と集団虐殺を逃れてきたアルメニア人とその子孫はフランス国内に現在40万人いる(アルメニア人600万人のうち半数の300万人は欧米・中東諸国に亡命)。政治家には無視できない有権者層を計算に入れての法案ではと勘ぐる者から、「トルコとアルメニアの間に芽生えている対話を断絶する」法案と批判するEU委員会、「歴史研究を、言論の自由を妨げる悪法案」と反発する歴史学者まで反対意見が続出。エルドガン・トルコ首相も仏政治家たちの「理性の欠陥」と憤慨。 シラク大統領は9月30日、アルメニアの首都エレバンで「トルコは自国での悲劇と誤りを認めることによって成長するだろう」、それなしにはEU加盟も困難とほのめかしていたが、同法案について「遺憾」とトルコ首相の肩をもつ。が、トルコでは、2001年法案成立時以上に仏製品ボイコット運動が盛んになりつつあり、仏企業は経済的打撃を恐れている。 |
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