前回は、ジュラ地方でコンテを作った後に残ったカイエ(凝乳)から作られるモルビエというチーズのことを書いた。今回は、フランス北部フランドル地方の ウォッシュタイプチーズ、マロワルの形がくずれたものを集めて作ったというブレット・ダヴェンヌ(ダヴェンヌの団子)。団子といっても、形は手で握って作 られるのでちょっといびつな円錐形だ。1個200グラムから300グラムくらい。 表面は、植物性の染料で着色したり、パプリカなどをまぶしてあるので赤茶色で、ちょっとためらう人も多いだろう。身は灰色に近く、ウォッシュタイプ特有の強い匂いが立ち昇る。チーズの初心者にはちょっと手ごわそうな味だが、エストラゴン、パセリ、コショウなどが加えてあるので、そのスパイスの風味と一体 となった味わいに、ちょっと病みつきになる人もいるだろう。形や色が独特で映えるので、食べごろの秋、冬にはチーズの盛り合わせにも加えたい。 こんなチーズには、こくのあるコット・デュ・ローヌの赤などを添えたい。(真) |