台所に並んで座る母と年頃の娘。「魚を食べたくない」という娘に「あんた魚が今いくらするか知ってるの!? 食べなさーい!」と叫ぶ母。すると娘は「私はカトリーヌ・ドヌーヴなんだからこんな魚なんて食べられるはずないじゃない!」と言い放つ。論理も脈絡もまったくないこの会話がこの戯作全体を象徴している。夫に逃げられ、女手一つで娘二人と息子を育てた母親の恨みとヒステリーが、成人した子供たちに乗り移ったか? と書くのは単純すぎる。でも話の奥行きを探りたければ、まずは登場人物の精神分析から始めなくては…。というように、かなりハチャメチャなのです。歌、説明調のナレーション、マイムもどきの動き…スタイルや形式にこだわるあまり、役者たちが操り人形のように見えるのが残念。今年のモリエール民営劇場最高舞台賞獲得。(海) |
8日迄。火-土21h、土マチネ18h。 |
●夏の演劇祭 様々な夏の演劇フェスティバルの季節となりました。情報は各HPで。 -7/6-27:今年60歳を迎えるアヴィニョン演劇祭www.festivalavignon.comとオフwww.avignon-off.org -7/5-30:パリ近郊ヴィトリーの〈アヴィニョンには行かないよ Nous n’irons pas a Avignon〉も今年で9年目になった。www.gareautheatre.com -7/17-8/4:サルラで開かれる屋外演劇祭Festival des jeux du theatre- Sarlat。www.festival-theatre-sarlat.com -7/14-8/15:演劇だけではなく、ダンス、サーカスなど多彩なプログラムが満載されたフェスティバルParis Quartier d’Ete www.quartierdete.com -7/31-8/6:今年で24回目を迎える国際マイムフェスティバルFestival international du mime de Perigueux。 www.mimos.fr |
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D A N C E ●Miquel BARCELO/Josef NADJ 協力アーティストとして、ジョセフナジを迎える今年のアヴィニョン演劇祭。全体に、舞踊、演劇的要素、美術、音楽などが、領域を超えて一つの世界を開花、結実させるような試みの作品が目立つ。”PasoDoble”は 陶芸のもつ変窯の神秘性を絵画画面に存在させる作風で知られる、マヨルカ出身の画家ミケル・バルセロとジョセフ・ナジのパフォーマンス。 画家と振付家が、粘土という素材を共通の言語として生み出す空間。 “Asobu” は、ナジの、アンリ・ミショーの詩とデッサンへのオマージュ。教皇庁宮殿の舞台上で繰り広げられる、ミュージシャン、舞踏出身の日本人ダンサーを含めた24人の身体の織りなす繊細にして闊達な世界を楽しみたい。この作品は10月にパリ市立劇場、来年1月には東京の世田谷パブリックシアターで上演される。(珠) |
“PasoDoble”:16日-27日(19日、22日、24日休演)。18h。 |