ジョルジュ・フェドーの代表的笑劇の一つ『アメリーを頼む』は、年末の賑わいにはもってこいの軽やかで華やかな舞台。時はベルエポック。庶民階級に生まれ育った娘アメリーは、上流社会の御曹司に見初められ「妾」として優雅な生活を送っている。上級軍人であるアメリーの婚約者=御曹司は、親友に「アメリーを頼む」という言葉を残し長期の遠征に出かけていく。ところがアメリーの世話を頼まれた親友の遺産相続問題、アメリーを見初めた東方の国の皇帝…などアメリーを取り巻く男性陣のおかげで話はどんどんややこしくなっていく…。 20世紀初頭の社会事情を反映するヴォードヴィル(通俗喜劇)の典型ともいえるこの戯作の演出を担当するのは、ジャン=ルイ・マルタン=バルバズ。3時間!の間、観客を退屈させない秘訣とは? テンポよく笑いに包まれて進む前半は、エンターテイメント性に溢れ観客を楽しませてくれる。惜しまれるのは、休憩後の後半が間延びしてしまったこと。これという美人ではないけれど、庶民的で人好きのするお茶目なエミリー・カズナヴはアメリー役にぴったり。1月15日迄。(海)
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Theatre Silvia Monfort : 106 rue Brancion 15e 01.5608.3388 |
●Labo Lubbe 1933年ドイツ帝国議会に火をつけ、ヒトラー独裁下死刑となったオランダ人マリニュス・ファン・デール・リュブ。この事件と彼の手記からヒントを得ているブレヒトの戯作『アルトゥロ・ウィの興隆』を基に、イヴ・パジェスが書き下ろし、フランソワ・ヴァスチオーが演出(出演も)したのがこの舞台。ブレヒトの戯作の演出風景とファン・デール・リュブの行動が、時空の中で重なり交差する、という面白い試み。11日迄。(海) Theatre de la Cite Internationale : 21 bd Jourdain 14e 01.4313.5050 |
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D A N C E ●Julie NIOCHE “H2O-NaCl-CaCo3” 「この場 ー身体ー それは止まずに変容し続ける、束の間の雑多な姿を見せて明らかな貌は持たない。例えば、そこに人がいることによって空気の濃度は同じではあり続けられないように」。ジュリー・ニオシュはパリのコンセルバトワール卒業後、数々の振付家の作品にダンサーとして参加後、イメージ、身体の境界をテーマにインスタレーション、ダンスによる表現を続ける。同時に大学での心理学の研究や整骨術を体得するなど、実際に心身を探究することによって自身の創作を裏付けている。三部作の最後となるこの作品で、建築・装置、照明、ギター、ヴォイス、そしてそれぞれに対峙していく彼女の身体によって、この「場(として)の身体」はあらわにされていく。(珠) 12日~17日/19h30、21h。 |
18日/15h、17h。14e/10e。 Maison de l’Architecture / Salle de la Chapelle: 148 rue de Faubourg St. Martin 10e 01.5345.1717 www.festival-automne.com |