爽やかな初夏の日差しが降り注ぐころ、フランスでは毎年恒例フェット・デュ・シネマ(映画のお祭)の幕が上がる。全国約5300の映画館が参加する人気のイベントだ。今年は6月26日(日)、27日(月)、28日(火)の3日間。期間中に一度正規料金で入場すれば、次の回以降、すべて2ユーロ均一になるパスポートが渡される仕組み。
TVの台頭に映画が苦しんでいた80年代半ば、客寄せ対策の一環として企画されたこのイベント。客足が特に鈍るバカンス時期直前にあえて開催する関係者の計算高さは、見事に吉と出た。気がつけば今年で20周年の長寿企画に。今回のオヴニーは、そんなフェット・デュ・シネマをより楽しむため、パリの映画館に焦点を当てる。(瑞)
文・写真:林 瑞絵