「あなたのこと、もう愛してないと思うの、と、きのう彼女が言った」と、わが家の17歳の娘がよく口ずさんでいる。昨年、35歳でファーストアルバム “L’Amour parfait” を出した遅咲きの歌手、カリ。そのアルバムの中の “Elle m’a dit” が大ヒット。快いロックのリズム、恋の甘さと辛さを巧みにとらえた歌詞のよさで、ティーンエイジャー間にも熱狂的なファンが多い。 1968年、ペルピニャンで生まれ、スペインとの国境に近い小さな町で育つ。母親は小学校の先生だったが、彼が6歳の時にガンで死亡。独りで時間を過ごすことが多い無口な少年だったという。高校を出て上京、道路清掃人やムーラン・ルージュのギャルソンなどをやりながら、ギターを弾き続ける。2年前、ラ・ロシェル市で毎年開催される〈Francofolie〉で注目され、初アルバムの契約にサイン。ブルターニュのロックフェスティバルではパティ・スミスと楽屋を分かち合う。「涙が出てしょうがなかった」。舞台では汗だらけでロック、ロックだが、「幸福は、ひと休みしている悲しみ」と歌ったレオ・フェレの大ファンでもある。(真) |