モータースポーツの発祥の地フランスで、憧れの頂点フォーミュラ1のすぐ手前のクラス、F3に果敢に挑戦している日本人女性がいる。井原慶子さんだ。F3ドライバーになる前は、大学時代のアルバイトとしてF1のレースクィーンをしていた。「(レースクィーンの仕事は)全然自分らしくないとは思いつつ、アルバイトと割り切っていました」。それまでは特に車に関心があったわけではなく、免許も取得していなかったのだが、F1のスピード感と音に魅了されて「自分でもやってみたい」と思った。それからはスポンサー探しの日々。モータースポーツはとにかくお金がかかるスポーツなので、現在の理解あるスポンサーを見つけるまではかなりの時間を要し、苦労もしたようだ。
晴れてレーサーとなって参戦したフェラーリ・チャレンジで優勝。持ち前の運動神経と度胸のよさでぐんぐん頭角を現す。イギリスではフォーミュラ・ルノーでワンシーズン、約半年を好成績でおえた。来仏は今年の2月。イギリスの暮らしも捨てがたかったが、スポンサーがF3参戦という素晴らしい機会を与えてくれたので、迷わずフランスへやって来た。
世界70カ国を訪れ、タイの山岳民族と3 カ月も生活を共にしたこともあるという慶子さん。見かけによらずサバイバル生活もOKだが、フランスに住むことになってからは苦労のしどおし。注文したベッドが2カ月届かず、届いたと思ったらその運搬業者に財布を盗まれたりと、はっきりいって印象は悪い。身近に森があるところや食べ物の美味しいところなど少しずつ見直してきてはいるが…。
レースは想像以上に、集中力、精神力、そして体力を必要とする。特にレース前の充分な睡眠は必要不可欠で、レース前日は緊張して眠れないという要因を少しでも取り除くため、カレーライスなどの刺激物やビタミン豊富なオレンジジュースなどは一切とらないそうだ。
「世界選手権で活躍し、早く一流になってデビューから応援してくれているスポンサーに恩返しがしたいです」(里)
*慶子さんの参戦状況など詳細を知りたい人は、www.keikoihara.comまで。