笑うことより怒ることの方が多い日々、とても嬉しいことがありました。
たしかにわたしはフランスの若者が大好きです。特に青年のマナーの良さといったら!「いったいどう教育されたらこんなにステキになっちゃうわけ?」とわたしは声を弾ませながら、わたしの前でドアを開けてくれる青年に思わずニッコリ。荷物を持ちましょうかと言ってくれた男の子にもニッコリ。駅でおじいちゃん、おばあちゃんを出迎えた小学生の少年が、駆け寄っておばあちゃんの荷物を手に取ったのを見た時は、頭に稲妻が走りました、「小さいときからなんですねー」と。
で、わたし、うっかり、クリスマスプレゼントの沢山入った袋を電車に置き忘れ、ウワ!と思った瞬間、電車は行ってしまったのです。終点まであと二駅。無駄と知りつつ、一抹の希望。後継車で、終点に止まっている前車めがけて走りました。するとホームにいたんです、若者が。 わたしの袋を持って、一人ポッツリと。わたしを見てニッコリ。彼を抱きしめてキスの雨を降らせたかったけど、三十歳まで日本育ちのわたし、心から日本にキスの習慣のないことを恨みました。こんなステキな子がいるんだフランスには!と大感激し、雨の中、スキップして家に帰りました。(節子)