●シド・アメッド・レザラ自殺 昨年10 月13 日、リモージュ-パリ間の列車内で殺害された英国籍のイザベル・ピークさんら、3女性の殺人容疑に問われていたシド・アメッド・レザラ (21) は、今年1月11 日、ポルトガルのリスボン郊外で逮捕された。フランスへの引き渡し決定が出るまでリスボン市の中央刑務所に拘留されていたが、6月28日、房内に放火して窒息死。レザラは、これまでにも何度か自殺を図っていて厳重な監視下におかれていたが、同夜は、サッカー欧州選手権の準決勝フランス-ポルトガル戦がテレビ中継されており、看守の巡回が怠られたのではという疑いも出てきている。 ●国家評議会と事後避妊薬 教育省の通達で、1月初旬より、事後避妊薬が中学校および高校の看護室に常備され、「きわめて緊急の場合にかぎる」という条件で生徒に無料で与えられてきたが、これは違法だと、妊娠中絶に反対する協会が国家評議会に訴えた。6月30 日、国家評議会は、1月の通達は1967年の避妊に関する法律に違反し無効と判断。学校看護婦 (夫) の組合は、「薬局で処方箋なしで買える事後避妊薬をなぜ私たちが与えることができないのか。薬局ではアドバイスはできても、その後のフォローができない」と強く反発。政府も、現在の状況に合わなくなってきている避妊法を今秋にも改め、学校の看護室に事後避妊薬を再び常備できるようにすると発表。 ●国家評議会と “Baise-moi” 16歳未満禁止で上映中だった”Baise-moi” (5ページの映画欄参照) に関し、6月30 日、国家評議会は「激しい暴力シーンと露わなセックスシーンからなっているが、女性への暴力を告発するという監督の意図が明らかでない」とし、右翼のブルーノ・メグレ派に近い家族保護団体の訴えを認めて、18歳未満禁止のX (ポルノ) 映画指定にすることを命じた。X指定になると、その作品は援助金がもらえなくなるだけでなく、過重の付加税が課せられ、またポルノ映画上映館も激減している現状では (パリでは1館のみ)、この作品の死につながることから、7月5 日、映画関係者や文化人ら200人が「表現の自由」を掲げてパリで抗議集会。 |
●フランス、サッカー欧州選手権優勝 7月2 日、サッカー欧州選手権の決勝が、準決勝でポルトガルを破ったフランスと、開催国のオランダを破ったイタリアの間で争われた。接戦が続いてゴールデンゴール方式の延長戦にもつれ込み、トレゼゲが絵に描いたようなシュートを決め、フランスが2-1で、84年に続く2 度目の優勝を飾った。W杯覇者が2年後の欧州選手権を続けて制したのは史上初。この試合のテレビ中継に2140万人が釘付けになり、これも視聴率としては史上最高。 ●チベリ夫妻ピンチ パリ市5 区選挙人名簿水増し疑惑に関与していたとして、重要なポストを占めている5区職員の事情聴取が続いていたが、ナンティアン同区事務局長らが、チベリ現パリ市長夫妻が積極的に偽選挙人名簿作成に関っていたことを自供。7月4 日、グザヴィエル・チベリ市長夫人と市長側近のアンヌ=マリー・アフレ氏が取り調べられることになった。チベリ氏は「またしても陰謀だ」と強気の発言。 ●国民投票は9月24日 7月6日、シラク大統領は、大統領の任期を7年から5年に短縮することに関し「フランス国民に国民投票を通じて意思表示することを呼びかけたい」とテレビを通じて表明し、積極的に賛成するようにと訴えた。国民投票の期日は9月24日としたが、キャンペーンのためにわずか10週間しかなく、そのうえ、ちょうど狩猟解禁日にも重なることから、棄権率の高さが懸念されている。 |