フランス国旗が売れている。売れ行きは平常時の2倍だという。パリジャン紙が取材したノール県にある創業200年の国旗製造会社によると、こんなに売れるのは、1989年にフランスで開催されたサッカー・ワールドカップでフランスが優勝した年と、ドゴール将軍逝去の年くらいだそうだ。今は個人、学校からの注文が多いという。2001年にアメリカでテロがあった後も、この会社は膨大な数の星条旗の注文を受けた。
同紙が11月19日、20日、18歳以上のフランス人千人を対象に行ったアンケートによると、国のシンボルとして三色旗に愛着を感じると答えた人は93%、感じない、は7%。自宅や庭に国旗を掲げてもいいと61%の人が答え、SNSのプロフィールを三色にするのに賛同する人は83%だった。
セゴレーヌ・ロワイヤルが2007年の大統領選のキャンペーン中に「7月14日には国民は国旗を掲げる」ことを提案した時、多くの人が軍国主義的だと笑った感覚を忘れてしまったのだろうか。今、フランス人が国旗を持ち出す理由を、パリジャン紙の社会学者は、Union Nationale(挙国一致)の希求、共和国家への賛同を表現する手段、などと説明しているが、大統領が「戦争」と言い、国民が士気高揚のごとく国旗をはためかせ、ラ・マルセイエーズを歌うのを聞くのは不気味なものだ。
1月のテロの後も、400万人規模のデモで、たくさんのフランス国旗が翻った。殉職した公務員への追悼としてなら理解できるが、体制批判を売り物にしてきた風刺新聞のメンバーたちは驚くのではないかと思った。
そもそも、追悼というのは国とは無関係なものだ。国に関係なく、同じ価値観を共有することのほうが望ましく思われる。(集)