冷房で体が冷えていたり、暑くて運動不足だったりで、意外と体の代謝が滞っているこの季節。そんな時は唐辛子のカプサイシンパワーで体内の巡りを促そう。11区の小さな通りにあって外観もなんてことないお店だけれども、その一風変わった名前に足を止める人は多い。その名も 「唐辛子2倍」。そして入り口の扉には「唐辛子は腹痛と下痢を引き起こします。摂取量には気をつけて」との警告が張られているのだ。飲食店で「下痢」という言葉を使用する大胆さ。まんまと戦略にはまって興味をそそられた。
店内は、シンプルながらも可愛らしいオブジェがセンスよく飾られている。お昼のメニューはナス炒め、マーボー豆腐など野菜メインの料理とご飯で6€、鶏肉の唐辛子炒め、牛肉または豚肉のネギ炒め、鶏肉の皇帝風など肉料理とご飯で8€、最後に冷麺を前菜に看板料理の牛肉または魚の唐辛子煮込みスープ仕立てとご飯のセットが9.8€と、非常に良心的だ。私は8€のメニューからBœuf piment vinaigréを注文。店員さんに「辛さは1~5のどれ? うちは3でもかなり辛いけど」と尋ねられ、香辛料どんと来いの私は「じゃあ3で」と答えた。やってきた料理の美味しそうなこと。白いネギや青いネギがふんだんで、中華の火力ならではの照り具合が美しい。お味はというと、ネギの甘み、肉の柔らかさと旨み、酢の酸味、ショウガの爽やかさ、ゴマの香ばしさ、山椒、唐辛子が複雑に絡み合いつつも完璧に調和して、これはもう箸が止まらない。しかし辛い。顔中と腕から汗が吹き出して、こんなところにも汗の出る毛穴があったのかと感心し、鼻をかみ続け、少し涙目で、なんてサディックなんだろうと思いながら完食した。辛味に強いと自負していたが、四川とは次元が違うのだと痛感。もう少し楽に食べられるように、今度からは2の辛さにしよう。
店を出て10分後、さっきまでの熱は引き、運動後のような心地よい疲労感が体全体を包む。このまま日陰を歩いてアイスでも食べたいような気持ちよさだ。(み)
Deux fois plus de piment
Adresse : 33 rue Saint-Sébastien, 75011 parisTEL : 01.5830.9935
12h-14h/18h-22h 水昼休