ヴィアジェ年金(Rente viagère)について
フランスで18世紀後半につくられたヴィアジェ契約は、世界でもめずらしい。今日の物価高のなか、年金で全てをカバーするのはむずかしくなっている。最近は不動産を遺族に残すよりもビジネスライクにヴィアジェ契約で売却し、豊かな余生を目指す人が多い。ヴィアジェ契約の頭金で旅行もできるし、夫婦のどちらかが亡くなっても、寡婦(夫)は年金式に生涯受給できる。
ヴィアジェには2種類ある。契約時から買い主が入居できる〈Viager libre〉と、売り主が死ぬまで住み続けられる〈Viager occupé〉。どちらも購入者が契約時に頭金(bouquet)を払い込み、売り主の予想存命年数を基に計算された年金額を毎月支払い、売り主の死去時に購入者の所有になる。ただし、地方税や管理費などは売り主が負担し、大規模な工事費や不動産税は買い手が負担する。不動産の評価価格や頭金、年金額は、売り主の年齢などから割り出される。
ヴィアジェ物件例を挙げると、「ブルターニュの一軒家170㎡:夫85歳/妻81歳、評価価格27万€→頭金17万€、年金月948€」/「 ヌイイ・シュル・セーヌ:ステュディオ27㎡:女性81歳、評価価格22万€→頭金12万€ / 年金月1082€」
売り主が80歳以上なら、定期支払金の70%が税控除される。売り主が老人ホームに移り住む場合は、住居が引き渡されるので、買い主が居住したり、賃貸することもできるが、追加割増金を払わなければならない。買い主が離婚や失業で途中で支払金が滞ったり不払いの場合は、売り主は契約解消を申請し不動産を回収できる。または不動産を買い主に転売してもらい、頭金+不払金+死期までの年金の支払いを新購入者が引き受ける。購入者が売り主より先に死んでしまうこともある。それに備えて購入者は契約時に保険に入るか、買い主の相続人が遺産相続の形で売り主に年金を払い続ける。
統計的に、ヴィアジェによる購入者の25%は40〜50代だが、何年か後の値上がりを見込む投資型購入者が50%、海外移住者の中で何年か後の帰国時に地方の一軒家やアパルトマンを所有したいと思う海外赴任中の購入者は25%だという。(君)