先日友人が、運転中にイノシシと遭遇した。夜間、両側にブドウ畑が広がる国道で、突然光る目を発見。思わずハンドルを切って避けたまではよかったが、車は道路脇の溝に突っ込み、フロント部分がグシャグシャに壊れ廃車になってしまった。幸いにも軽いムチウチ症だけで済んだが。
また別の知人は、夜間遭遇したイノシシを避け損ねて崖に激突し、ひどいけがを負ってしまい、入院とリハビリに数カ月を要したと話してくれた。
イノシシとの遭遇。パリの街中ではさすがにないが、郊外の農地付近ではよく聞く話で、つい先日もボルドーの中心街にイノシシが数回にわたり出没して大騒ぎになった。
「イノシシ遭遇時の最善の対処法は?」との問いに、経験者や保険会社が口を揃えて言うのは、「絶対に避けないこと」。つまり、そのまま真っ直ぐ突っ込めということ!?
多くの動物は夜行性なので夜間に遭遇する確率が高く、そのため直前まで気付きにくい。そんな状況下で急ハンドルを切ると、車はコントロール不能に陥るリスクが高い。回避後のシミュレートが瞬時にできない状況下では、イノシシの命よりも保身を優先すべきなのだ。
さて、保険の面ではどうなるのだろうか? 基本的には通常の事故と同様の流れとなる。動物の死体がある場合は警察を呼ぶ必要がある。動物が逃げ、自分の車両が破損してしまった場合、保険会社にはしっかりと状況説明し、動物の毛などがあれば証拠として提示することも必要だ。なぜなら「動物との事故」を装う輩(やから)もいるからだ。動物との事故であることが認められれば、全負担プランならば金銭面の負担は一切なし。当然ながら部分負担プランでは補償内容は期待できない。
夜行性動物は光に向かって突進する特性があるので、夜間走行ではこんなことも予測して、ハンドルを握ってもらいたい。(和)