クリスマス前後になると、客が来た時や、家族が集まった時に食卓に出てくるチーズが、モンドール。スイス側ではヴァシュラン・モンドールという。フランシュ・コンテ地方のジュラ山脈で飼われている放牧牛の、香り高く濃い牛乳から作られるチーズ。モミの木の一種、エピセアの樹皮の輪っかがはめられている。皮はバラ色がかった黄褐色 で、ビロードのような光沢を持ち、しわが寄っている。皮をナイフで薄くきれいにはがすと、白 い身があらわれる。これを小サジですくって口に入れると、かすかに樹脂の香りを持った身がとろけるようだ。
こういうチーズにはコクのある赤は合わない。繊細な風味を殺してしまうだろう。ワインは、やはりジュラで作られている、辛口で繊細な味わいのアルボワの白が最適だ。アルボワの赤も柔らかな味わいなので向いている。あるいはお隣、サヴォワ地方の白、クレピーやルセットなどがおすすめだ。(真)