天を突き刺し鎮座するオベリスクは、現存するパリ最古の建造物。エッフェル塔や凱旋門とは違い異国で造られ、はるばる運ばれてきたものだ。でも高さ23m、重さ230トンの巨大な石の塊、どうやって運んできたの? なぜここにあるの?
そんな疑問も本展示で氷解。オベリスクは古代都市テーベで紀元前13世紀頃に造られ、長らくルクソール宮殿の前にあった。だが1829年にエジプト総督ムハンマド・アリが、国の近代化に尽力したフランスに贈ろうと発案。若き海軍技官アポリネール・ルーバの指揮のもと、誰もが不可能と思った大事業が動き出す。オベリスクは専用船に乗り、8千キロの水上の旅を経てコンコルド広場へ。1936年10月25日、モーツァルトの「イシスの神秘」が演奏され、国王ルイ・フィリップと20万人のパリジャンが見守る中、オベリスクは台座に載せられた。
展示会場には当時のデッサン、絵画、地図、模型、ジオラマが並び、年代順に人類の壮大な挑戦をたどる。先人たちの夢の先に、自らも生かされていると実感。
展示の表記は難しめだが、受付では情報誌「PARIS MÔMES」とコラボレーションした子供用ガイド「LIVRE-JEU DE VISITE EN FAMILLE」(対象は7歳~) を配布。またオベリスク展は、海洋博物館の常設展示の奥にある。常設展示は軍艦や模型、航海器具から潜水服まで並ぶ迫力満点の穴場で、通過するのはもったいない。サンクトペテルブルクの博物館ととともに、世界最古かつ最重要な船の博物館なのだから。(瑞)
●Le Voyage de l’obélisque Louxor/Paris (1829-1836)
2014年7月6日迄
毎日11h-18h(土・日は19h迄)火休
10€/5€(7~18歳)/2€(3~6歳) トロカデロ駅徒歩0分。
Musée national de la Marine – Palais de Chaillot
17 place du Trocadéro 16e 01.5365.6969
http://www.musee-marine.fr/le-voyage-de-lobelisque-louxor-paris-1829-1836
●La Pinacothèque de Paris
「クレオパトラの鼻がもし低かったら」とパスカルは言ったが、彼女の素顔は謎に包まれている。聖女、娼婦、冷血な政治家? 後世に伝えられたイメージは多様。でも古の昔から、芸術家の想像をかき立てる人物であることはたしか。絵画、彫刻、映画や舞台作品を通し、クレオパトラの魅力に迫る好企画。
●Le mythe Cléopâtre
La Pinacothèque de Paris : 8 rue Vignon 8e 01.4268. 0201
http://www.pinacotheque.co
2014年9月7日迄 毎日10h30-18h30 (水・金は21h迄)無休 。
12.50€/10.50€(学生 12~25歳)/ 12歳未満無料。マドレーヌ駅徒歩3分。
オベリスク 建立を描いた ルーヴル美術館 所蔵の絵画
エジプト総督ムハンマド・アリがフランスに贈ろうと提案
トロカデロの海洋博物館
オベリスク展の展示は海洋博物館の常設展示の奥にある
1世紀頃のクレオパトラの像© Musée des antiquités, Turin
映画『ミッション・クレオパトラ』のドレス© Collection Ciné Costum