「ドロンの再来」と称される甘いマスクで、女性観客を魅了するラファエル・ペルソナ。だが「自分以外のすべてを演じたい」と語る彼は、ドロンよりも熱い役者魂を持つ。今月公開のニコラ・バリー監督『Au bonheur des ogres』では、デパートの苦情担当者に扮して、作家ダニエル・ペナックが構築したブラック・ユーモアの世界を気持ちよく泳いでいる。
家具デザイナーの父と翻訳家の母のもとパリで誕生。12歳で好きな女の子を追い演劇クラブに入る。だが、入会するとなぜかお目当ての女の子の姿はなく、かわりにペルソナ本人が演劇にのめり込んだ。舞台やテレビの世界で経験を積んだ後、2000年代から映画の端役をつかみ出す。転機はベルトラン・タヴェルニエ監督『La Princesse de Montpensier』(2010)への出演。ルイ・ガレルが演じる予定だったアンジュー公の代役を見事に務め、カンヌ映画祭で評判に。その後は『黒いスーツを着た男』、『恋のベビーカー大作戦』、『After』、『マリウス』と一躍主演級の俳優として快進撃が続く。コスチューム劇からサスペンス、ラブコメ、マルセイユ訛りに至るまで、常に自然体でこなす芸達者。趣味はトランペットとピアノ。オリーブオイルに目がなく、俳優を辞めオイルの輸入会社を作ろうと画策していたこともあった。(瑞)