この欄で「夏のバカンス。時間にせかされずに料理をできるのも、うれしい」と書いた。ただ、滞在先の貸別荘などに、どんな台所道具がそろっているかが大いに気がかり。今年の貸別荘には、ニンニクつぶしやおろし金がなかった。包丁もいくつか揃っていたが、どれもこれも切れ味ゼロだった! 読者の中にもこんな経験をした方が多いにに違いない。切れ味の悪い包丁はかえって危険。力を入れて押し切ろうとしたら刃が滑って、指が深く切れてしまったということになりかねない。
そこで、ボクは旅先にオピネルOpinelという折りたたみナイフを持参する。フランスのボーイ(ガール)スカウトたちが最初に持たされるのもこのナイフ。「C’est mon premier couteau!」と誇らしげだ。それに、刃が動かないようにリング状の止めが付いているので安心だ。彼らは刃渡り8センチの7番だが、ボクはきちんと料理したいので、刃渡り12センチの12番。刃は鋼製。鋭く切れる。刺身もきれいに作れるし、カニの殻だって切り落とせる。それもそのはず、連続殺人犯が凶器として使ったというこわいエピソード付きなのだ。
使って洗ったら、すぐにクッキングペーパーなどでよく拭うこと。時々油を塗ってあげるといい。一カ所に長く滞在するときは、刃を出しっぱなしにしておいた方が、乾きやすいしさびにくい。
飛行機に乗るときは、機内持ち込み荷物の中ではなく、大きな荷物の隅に忍び込ませて、きちんとチェックインしてくださいね。(真)