ベルギーとの国境、アルデンヌ県の県庁所在地シャルルヴィル=メジエール。パリのヴォージュ広場にそっくりなデュカル広場を中心にひろがる人口5万人弱の小さな町だが、フランスの文化に与えているインパクトは大きい。
ホテルの受付、書店の看板、作業着屋の店先のTシャツにいたるまで、町は詩人ランボーの面影であふれている。シャルルヴィルは彼が生まれ育ち、その破天荒な人生の末に埋葬された地だからだ。彼が少年時代をすごした、ムーズ川岸の家の窓から見える川船が『酔いどれ船』をおもわせる。
詩人が世を去った今、町には「世界人形劇連盟UNIMA」の本部があり、2年に一度の世界最大のフェスティバルが開催され、そして国立高等人形劇学校には各国から人形劇を志す若者が集い学んでおり、人形劇の「聖地」として強烈なインスピレーションを放ちつづけている。(康)
文・ 写真:川崎康介、松本清子