中世の姿をそのまま残す町プロヴァンは2001年に世界遺産に登録された。バラを抜きにしてこの町は語れない。時は13世紀、ティボー4世が十字軍遠征に加わり、ダマスからバラを持ち帰った、という言い伝えのもと、現在に至るまで町のシンボルとなる。見所満載の町、バラの香りと共にゆっくりと時間をかけて散策したい。駅を出て目の前の小川を渡れば、Le valと呼ばれる新市街地。町の中心にバラを使った数々のお菓子で人々を迎えるパティスリー〈Dominique Gaufillier〉がある。
そのまま西に進めば中世の匂いは濃くなり、中世都市へと続く。この辺りからバラコースと、中世コースに分かれる。北へ向かえばバラ園〈La Roseraie de Provins〉に。西へと坂を昇れば、城壁や地下道、シーザーの塔へ。6月8日と9日には中世祭りがあり、町は一層の賑わいとなるそうだ。(麻)
●パリ東駅からProvinsまで約1時間。
片道11.15€。1時間に1本。
名高い城壁のワシのスペクタクルは12€。約50分。14h30、16hの回が狙い目。
●観光局 Provins Office de Tourisme :
Chemin de Villecran 77482 PROVINS
01.6460.2626 www.provins.net/
●Dominique Gaufillier
ドミニク・ゴーフィリエさんは、1997年に菓子職人の最高メダルを、その後も次々とメダルを獲得し、店からは多くの弟子が巣立っていった。数日後に日本に発つというドミニクさんの行き先は長崎。彼の下で学んだベレニスさんが〈リトルエンジェルズ〉という店を構え、今では東京にも進出しているという。
残念ながら、秘伝というバラのジャムの作り方は教えてもらえなかったが、そのジャムを味わってみると、ハチミツににも似た甘み。バラの花びらの香りそののまま、どこまでも濃厚で、奥行きがあるおいしさだ。マシュマロやキャンディーにビスケット、どれもこれも買ってしまいたくなるものばかり。
2 rue Victor Garnier
01.6400.0371 7h-19h。日曜7h-12h。月休。
●Hostellerie de la Croix d’Or
1270年築の建物でフランス最古のレストランと認定されている。お昼には前菜+メイン+デザートの17€。29€の季節の料理コースでは、手長エビのラビオリ、中世風ホロホロ料理などを試したい。中世風の雰囲気が独特だ。テラスもある。
1 rue des Capucins 01.6400.0196
日夜・月火休。
●プロヴァンのバラ園
プロヴァンのバラ園〈La Roseraie de Provins〉は、以前は苗木屋だったところで、2008年にバラ園として開園した。300以上の種類のバラが庭に咲き乱れているはずだが、今年の春は寒かったので、まだ花はちらほら。バラにまつわるブティックも充実し、実際にプロヴァンのバラの苗木が買えるのがうれしい。
11 rue des Prés 01.6058.0578
入園料6.5€。5月-10月は10h-19h。無休。