●パリ・シネマ映画祭
映画ファンにバカンスの出発をためらわせる夏恒例のパリ・シネマ映画祭。メイン会場のMK2ビブリオテークを拠点に、市内各地で特別上映が組まれる。プロ用の映画祭がカンヌだとすれば、本映画祭は市民が主役となり楽しめる映画祭だろう。しかも市民だけではなく、夏にパリを訪れる観光客にも扉は開かれる。プログラムの中で英国旗マークが付くものは、英語がわかる観客OKの意味。「フランス語が苦手な日本人も積極的に楽しんで」とは、映画祭ディレクターのオード・エスベールさんの言葉だ。
映画祭の柱となるコンペティション部門には8作品がエントリー。在日2世ヤン・ヨンヒの日本映画『かぞくのくに』、キム・グエンのカナダ映画『Rebelle』、ベンス・フリガフのハンガリー映画『Just the Wind』は全てベルリン映画祭で激賞された作品だけに注目度が高い。
カンヌで健在ぶりをアピールしたレオス・カラックス、新作に期待が高まるオリヴィエ・アサイヤス、昨年亡くなったラウル・ルイスのレトロスペクティブも見逃せない。香港映画特集ではシネフィルが敬愛するジョニー・トー兄貴も飛来。
さらに10年目の今年も、映画を多面的に楽しめる企画が目白押し。エットーレ・スコラ監督は、6区のギャラリー〈Galerie Catherine Houard(15 rue Saint-Benoît)〉で、60年にわたり描きためたデッサンを特別展示し、アニバーサリーイヤーに花を添える。彼の制作の秘密に迫る必見の展示だ。映画祭の記者会見でもドラノエ市長がスコラにメダルを贈り、イタリア映画界のマエストロに友情と感謝の意を捧げたのが印象的だった。(瑞)
6月29日〜7月10日までパリ各所で開催。
チケット購入や問い合わせはEspace Paris Cinéma/MK2 Bibliothèque
09.8877.7575
映画5€、お得なパスは35€。
09.8877.7575
映画5€、お得なパスは35€。
www.pariscinema.org
スコラのデッサン。